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がん予防に味噌とインスタントコーヒー!食事に抗酸化物質を

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がん予防に良い食品と言うのは世の中にたくさん存在しています。

がん予防と言うことは、がんが発生する原因を取り除いたり、発生したがん細胞ががんに成長する前に破壊してしまったりする効果があると言うことです。

ではがんと言うのはどうしてできるのでしょうか。もちろん、何らかの理由でDNAに傷がつき、遺伝子にトラブルが起こると言う共通要素はありますが、もう少し生活感のある部分での原因から探ってみましょう。

今回は私たち日本人にとっては馴染みが深いと思われる味噌とインスタントコーヒーの抗酸化作用についてお話しましょう。

生きていればがん細胞はできるが身体には防御機構が備わっている

がんが発生する、統一的な共通要素と言うのはまだ解明されていません。しかし、これまでにわかっている大筋の流れは次のようなものです。

  1. 外部からの刺激によってDNAが損傷する。
  2. 損傷したDNAの修復が間に合わなくなる。
  3. がん細胞の細胞死より増殖のほうが速くなる。
  4. 免疫細胞の攻撃でもがんを抑えきれなくなる。

と言う条件が整ったときに、がんが発生するわけです。と言うことは、それぞれに対応する身体の機能を向上させたり補助したりするものを摂ることが役に立つのではないかと考えられますね。

免疫力の向上はすべての病気に有効な手立て

人間の免疫システムは結構複雑なのですが、がんをやっつけるのに効果があるのは大別して二種類です。ひとつは、がん細胞が攻撃対象であることをキラーT細胞に提示し、免疫細胞群を活性化することでがんを攻撃させることです。

もうひとつは抗原提示の必要がなく、とりあえず異物なら何でも攻撃するナチュラル・キラー(NK)細胞を活性化して、がん細胞を攻撃させることです。

最近注目を集めているプロバイオティクスの効果のひとつにNK細胞の活性化が挙げられています。ですから、発酵食品で腸内環境を整えることも遠回りではあるものの、がん予防に一役買ってくれそうです。

特に、腸内環境は加齢に伴って悪化することが知られていますので、がん年齢に近づいたら発酵食品を積極的に摂るようにしましょう。

また、免疫賦活と言う面から抗がん剤としても使われているレンチナン(しいたけ)やクレスチン(かわらたけ)は食用きのこから抽出された多糖類です。きのこ類も身体には良さそうです。

きのこと海藻の共通点

きのこががんに効くと言うと、まず思い浮かぶ成分がβグルカンですね。いろんな健康食品きのこの効能書きに必ず登場する成分です。βグルカンには種類があって、水溶性の物も不溶性の物も存在していて、きのこや海藻は両方持っているのです。

例えば不溶性のβグルカンにはβ1,4グルカン、すなわちセルロースがあります。植物の細胞壁を作っている物質ですから、植物には必ず含まれますね。

一方、β1,3グルカンには1,6結合も持っているβ1,3(1,6)グルカンがあります。これがきのこががんに効くと言われている主成分です。きのこや海藻に多く含まれるβ1,3(1,6)グルカンはラミナランと言う物質で、水溶性食物繊維です。

しかし、1,6結合が少ないラミナランは水に溶けなくなるので不溶性食物繊維と言うことになる場合もあるんですよ。面白い性質ですね。

海藻のぬるぬる成分と言うと水溶性食物繊維のアルギン酸が有名ですが、このラミナランも水溶性食物繊維の一角を担っていて、しかも免疫賦活作用によって抗がん効果が期待される物質でもあるのです。

きのこで最も多く水溶性食物繊維を持っているのは、ご想像通り「なめこ」です。その他手に入りやすい食材としては「えのきだけ」「しいたけ」も水溶性食物繊維が豊富ですね。

がん細胞を細胞死に導く成分は存在するが効果のほどは未知数

食品に含まれるカルボン酸(脂肪酸や酢酸、乳酸など)やその化合物の中には、がん細胞を細胞死に誘導するものがあり、多くの研究機関で研究が続けられています。

その中には食品成分として含まれるものなどをベースに化学合成し、副作用の少ない抗がん剤となりつつあるものなども存在しています。

しかし、こと細胞死誘導と言う点だけで抗がん効果を期待できる食べ物と言うのは、残念ながら今のところほとんどないようですね。

DNAは修復より傷つかないようにするほうが先決

損傷したDNAを修復する機能は、もともと細胞に備わっていますが、それを促進する栄養素と言うものがあるのかどうかは判りません。身体の機能としても、私たちの対応としても、DNAが損傷しないようにするほうが先決でしょう。

DNAの損傷は環境からやってくる紫外線やX線、γ線などの電磁波によるもの、アルカロイドなどの自然毒によるもの、人間が作り出す化学物質によるものなどさまざまな原因で発生します。

それらは日焼け止めを使ったり、大量被曝に注意したり、毒物に注意したり、禁煙したりすることなどである程度までは防げますし、防ぐことも簡単です。

一方、人間が食べ物から得た栄養素をエネルギーに変える際に発生する活性酸素種に分類される物質もDNAを損傷する原因になります。

人間の身体は、過剰な活性酸素種を除去する機能を持っていますが、活性酸素種を除去してくれるものは食べ物からも得られますし、人間の身体はそれらの物質も利用しているのです。

この活性酸素種を除去してくれるのが抗酸化物質ですね。次は酸化と活性酸素の関係について見てみましょう。

DNAは活性酸素に出会うと鎖構造が切断されてしまう

DNAは二重らせん構造になっていると言うのは有名ですね。イメージ図でも絡まった二本のらせん状の鎖の絵が良く描かれています。

活性酸素は、このらせん構造ではなく、もっと根本的な1本ずつの鎖を攻撃して切断してしまうのです。これでは遺伝情報が正しく伝わりません。ですので、活性酸素は早く処理するに限るのです。

酸化とは電子を失う化学反応のこと

いきなり難しい小見出しですが、酸化反応と言うのは皆さんがお考えの通り酸素と結びつく反応です。あるいは分子の中に存在していた水素を奪われるのも酸化と呼ばれています。

この反応の際、電子のやり取りが行われ、電子を受け取る側が「還元された」状態で、電子を与える側が「酸化された」状態とまとめられると言うことなのです。

なぜこんなややこしいことを言うかと言うと、活性酸素と言うのは普通の酸素に比べて、他の物質から電子を奪い取りやすい状態に活性化されていると言う意味だからです。

活性酸素種の中にはラジカルと呼ばれる、イオンのように対になっていない電子を持っていて、それが対になるために他から電子を奪うことで酸化力を発揮するものもあります。

一方、ラジカルではなく電子は全部対になっているものの、対になった電子が回っているべき軌道そのものが空になっていることで、そこに電子を補充しようと言う働きを持つ一重項酸素のようなものもあります。

同じくラジカルではない活性酸素種に過酸化水素がありますが、これは不安定ですぐに強力な酸化力を持つヒドロキシルラジカルに変化します。この特性を利用して殺菌を行っているのがオキシドールです。

酸化すると物質は異なるものに変化する

当たり前のような話ですが、酸化すると物質は異なるものになります。水素が酸化すると水になりますし、鉄が酸化すると錆になります。水素と水、鉄と錆は異なる物質ですね。

これが身体の中で起こり、DNAの鎖構造の一部が酸化されると異なるものになって切れてしまうと言うことなのです。しかし、一方で人間が食べ物からエネルギーを得るために、この酸化と言う現象は不可欠なのです。

人間の身体の中にあるエネルギー物質ATPからエネルギーを取り出すとADPと言う物質に変わります。このADPに対してリン酸とブドウ糖と酸素を加えると、ATPと水と二酸化炭素ができるのです。

ATPはエネルギーを貯蔵した状態、ADPはエネルギーを使い終わった状態ですし、その違いはリン酸1分子ですから、この三つが循環することでエネルギーを取り出しているわけです。

そうなると、先の流れの収支は「ブドウ糖と酸素」から「水と二酸化炭素」ができていることになります。義務教育の理科で習う通りですね。そして、この流れの中で一部の酸素が活性酸素種になっているのです。

活性酸素はエネルギー取出しの副産物だったのです。ですので、体内で作られてしまったら、出来るだけ早く処理してしまう方が良いと言うことなんですね。

活性酸素を処理してくれるものはたくさん存在している

このように身体に必要であるけれど害にもなる活性酸素種ですから、身体には余剰に存在するそれを処理する機構が備わっています。それは酵素と言う形で存在すると同時に体外から取り込んだ抗酸化物質も利用されているのです。

ですので、身体が上手に利用できるように、抗酸化物質を日々の食事から積極的に取り入れることは、がん予防においても重要な意味を持ってくるのです。

酵素以外の物質が活性酸素を取り除く例

ラジカルではないけれど高エネルギー状態の酸素分子、一重項酸素は非常に酸化力の強い活性酸素の一つです。これを除去できるのは酵素ではなく体内で作られたり、体外から取り込まれた抗酸化物質です。

具体的には、体内で作られる尿酸の他、体外から摂取されるβカロテン、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンEが、この一重項酸素を取り除いてくれます。

また、活性酸素種の中で最も反応性・酸化力が高い(毒性が強い)ヒドロキシルラジカルも、体内の酵素ではなく、体外から取り込まれたものを中心とした抗酸化物質で処理されます。

体内でも作られるものとしては尿酸の他、アミノ酸のシステインがあります。また、システインを構造中に持つペプチドのグルタチオンは、活性酸素の除去だけでなく様々な物質の解毒も行ってくれます。

体外から取り込むしかない物としてはフラボノイド類、必須脂肪酸のリノール酸、カロテン、ビタミンEが役に立ちます。

ただ、リノール酸は抗酸化物質として働いた後、自身が過酸化脂質となって健康に悪影響を及ぼしてしまいますのであまりお勧めできません。

酵素が中心になって処理される活性酸素種

活性酸素が形作られる入り口であるスーパーオキシドアニオン(超酸化物)は、スーパーオキシドディスムターゼ(略号:SOD)と言う酵素によって処理されます。この酵素の活性は寿命に影響するのではないかと考えられている物質です。

その他、体内で作られる物質にビリルビンと言う黄色い色素があります。普段は寿命が来た赤血球からの廃棄物として存在しますが、それが抗酸化物質として働いています。肝臓病の時の黄疸の原因物質でもありますね。

体外から取り込むものでこれを処理できるのはビタミンCです。

また、体内でヒドロキシルラジカルの前段階として存在するのが過酸化水素です。過酸化水素は有名なカタラーゼを代表とした3種類の酵素やビタミンCで分解・無害化されるようになっています。

ビタミンCやE、カロテンにフラボノイドと割合一般的なものしかありませんね。しかし、実際の食べ物について見てみると意外な発見もあるのです。

活性酸素を効率的に取り除ける食べ物

がん予防に効果があるとされる食べ物は、それこそ星の数ほどありますが、実際にどの程度の効果が期待できるのかと言う研究はそれほど多く行われているわけではありません。

中には健康食品を売らんがための商業的バイアスがかかった情報も少なくないので、ちょっと注意が必要ですね。

コーヒーや紅茶、緑茶は楽しんで飲もう

嗜好品として代表的なこれらの飲み物ですが、いずれもがん予防の効果はある程度期待されていました。

しかし、コーヒーについてはJPHC-Study研究において、がんには良くも悪くもないと言う結果が出ています。同時に、全死亡リスクを含め心臓・脳・呼吸器に関した死亡リスクを下げると言う効果も認められました。

ですので、がん予防には効果が見られなかったものの、1日4杯程度までのコーヒーは健康に良いでしょう。

国立がん研究センターの発表したものを見ると、全がんに関するものはありませんでしたが、胃がんについて見ると、緑茶にはがん予防の効果の可能性があるものの、コーヒーと紅茶は毒にも薬にもならないと言うことです。

しかし、紅茶にも緑茶と同じ成分も含まれていますし、テオフィリンのような抗酸化物質として働く可能性のある物質も含まれていますから、リラックスしてストレスを取り除く飲み物として利用するのが良いですね。

ナッツ類のビタミンEと野菜・果物のビタミンCは無敵のコンビ

ビタミンCとビタミンEを組み合わせれば、ほとんどの活性酸素を取り除くことができます。そうなってくるとナッツ類でビタミンEを、野菜や果物でビタミンCを摂ることが一番お手軽で継続もしやすいですね。

ナッツ類と言っても、アーモンドかピーナッツで充分です。ビタミンEのほか、同じく抗酸化物質であるビタミンB2もアーモンドがナッツ類の中で一番多く含んでいます。

厳密にはナッツではないピーナッツですが、ある程度のビタミンEとB2を持っている上に、ナッツ類の中でお値段も入手しやすさも断トツのトップですので利用しない手はありませんね。

ピーナッツの薄皮には、やはり植物性抗酸化物質のレスベラトロールも含まれていますから、ピーナッツは殻つきか薄皮付きのものがお勧めですね。

野菜や果物は、習慣的に毎日食べるだけで、かなりの抗酸化物質が期待できます。特に生で食べられるフルーツは、毎日摂るようにしましょうね。ビタミンCの含有量を意識するよりも、旬の果物でお値段の安さを優先してOKです。

抗がん効果を狙うなら硫黄化合物に注目

硫黄化合物と言ってもピンと来ないかもしれませんね。でも野菜の中には意外と含まれているんです。有名なのはにんにくの硫化アリルやアリシンが硫黄化合物です。硫化アリルはニラやらっきょう、ワサビなどにも含まれています。

アブラナ科植物の辛み成分であるカラシ油にはイソチオシアネートと言う硫黄化合物が含まれています。これも抗がん効果が期待されていますね。大根にも含まれてますよ。

イソチオシアネートの一種で、最近注目を集めているのがスルフォラファンですね。ブロッコリースプラウトの健康成分です。

緑黄色野菜は抗酸化効果が大きく期待できる食べ物

緑黄色野菜は、βカロテンを多く含む野菜のことと定義されています。βカロテンは先にもお話しした通り優れた抗酸化物質です。

緑黄色野菜には、ニンジンやほうれん草の他、カボチャ、小松菜、芽キャベツ、ねぎなどたくさんの野菜が含まれています。詳細については次のリンク先の中ほどから下を見て下さい。

厚生労働省・「五訂日本食品標準成分表」の取扱いについて・別表

わりあい常識的な食生活の勧めになりました。さて、次はちょっと意外な抗酸化物質の紹介です。

抗酸化物質の効果を測るラジカル補足能で調べた能力値

抗酸化物質がどの程度の能力を持っているのかを測定するために、人工的に作り出した「標準ラジカル」とでもいうべき物質があります。

それはきれいな紫色のDPPHと言う色素で、ラジカルが失われることで色が変わることを利用して、色を機械的に測定し、対象となる物質のラジカル補足能(=抗酸化能力)を調べると言う物です。

果物の中ではキーウイフルーツが一等賞

抗酸化能はちょっと複雑な単位を用いますので、今回は単位を省いて数値だけで紹介することにしましょう。まずは果物です。

果物ごとのラジカル補足能比較グラフ

このようにキーウイフルーツやアメリカンチェリー、いちごが高い値を示したのに対して、梨や、グラフにはありませんがスイカなどは低い値でした。

このグラフは参考として見て頂ければいいのですが、実は同じキーウイでも半分くらいの数値しか出なかったものや、おなじサクランボでも国産の佐藤錦はアメリカンチェリーの半分程度でした。

りんごも品種ごとのばらつきは多いようです。ですので、果物は食物繊維の効果なども含めて考え、「何が身体に良い」と考えるより、一年中何かフルーツを食べていると言う状態にする方が、トータルでは好ましいでしょう。

褐変物質と言う意外な抗酸化物質

たまねぎを炒めたり、お肉を焼いたりすると褐色になりますね。あるいはパンを焼いたときのきつね色もそうです。これらの変色はメイラード反応と言うアミノ酸と糖の反応でメラノイジンと言う物質ができる反応なのです。

このメラノイジンは、実は非常に優れた抗酸化物質だったのです。メラノイジンについては、人間の身体の中でこれが生成される反応が老化を進めることが知られていて、何となく悪者イメージだったのですが、体外でできる分にはOKのようです。

しかしさらに、メイラード反応が進む過程においてできるアクリルアミドと言う物質に発がん性がある疑いがもたれてもいます。また、現段階では確定したものではありませんが、クロの可能性が高そうです。

このアクリルアミドができるタイプのメイラード反応は、ポテチやビスケットなど、炭水化物を高温処理する際にできやすいそうです。現在は各国の保健関連機関が研究を進めているそうですので、その結果には注目したいところですね。

ところで、このメラノイジンと言う褐変物質のラジカル補足能はどのくらいなのでしょう。

メラノイジンのラジカル補足能比較グラフ

驚くべき数値、桁違いですね。コーヒー豆は焙煎によってメラノイジンを生むことが知られていますが、それをさらにスプレードライやフリーズドライで処理する際に、さらに濃度が上がるのでしょう。ココアの数値も目を見張るものがあります。

一方、私たちの食卓に欠かせない味噌や醤油にも、かなりの量が含まれています。しかも、味噌や醤油を作る際には「非常に高温」と言うステージがないため、先に懸念材料として紹介したアクリルアミド生成の恐れもありません。

塩分について十分注意しながら、やはり日本人として味噌と醤油は大事にして行きたい調味料ですね。

インスタントコーヒーの数値にはびっくりしましたが、味噌や醤油に抗酸化作用が期待できるのはうれしいですね。

日本人なら自然に抗酸化物質が摂れていると言うことになりますから。

キャラクター紹介
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