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癌を予防することが科学的に分かっている栄養素をピックアップ!

癌は「2人に1人がかかる」と言われるほど、今日の日本では珍しくない病気となっています。健診の推進や医療技術の進歩によって完治も可能になってきましたが、それでも日本人の死因No.1となる怖い病気には変わりありません。

癌の発症に大きく関わっているのが食生活なので、食生活を改善すれば癌の発症率を下げることも可能です。ただし間違った情報や、健康食品の誇大広告をうのみにしては意味がありません。今回は食品に含まれる栄養素の作用に注目し、癌を予防することが科学的に分かっている栄養素についてまとめてみました。

癌の約7割は生活習慣などが原因で起こる

癌は遺伝やウイルス感染(子宮頸癌・肝炎から引き起こされる肝臓癌など)で発症する場合もありますが、大半は食生活や生活習慣などが原因となっています。

ちなみに1966年には、ハーバード大学のがん予防センターから「アメリカ人の癌死亡の原因の68%は生活習慣や食生活などである」という研究結果が発表されました。その内訳は、次のようになっています。

食生活 30%
喫煙 30%
運動不足 5%
飲酒 3%

40年前の外国のデータではありますが、不規則な食生活や生活習慣と癌の関係は、現代の日本にもほぼ該当していると考えて良いでしょう。そして、これらの原因はどれも意識によって改善することができるものばかりです。

食生活が大きく影響しているのは、体が食品から取り込んだ栄養素で作られており、食べた物の良し悪しが健康を左右してしまうからなのでしょう。

癌を予防することが科学的に認められている栄養素

まず、体に悪い物(アルコール・高塩分・煙草・熱い物など)は避け、栄養バランスの取れた食生活を心がけることが基本であることは言うまでもありません。その上で、癌の予防効果が科学的に認められている栄養素を、意識して取り込むようにしてください。次の栄養素は、癌全般の予防に効果があることが分かっています。

ビタミンC…野菜や果物に多く含まれる水溶性のビタミン
ビタミンD…骨の形成に欠かせない脂溶性のビタミン
ミネラル…生物に微量含まれる無機質
カロテノイド…植物に含まれる化学物質の一種
食物繊維…食物に含まれる消化されない成分
など

次に、癌の予防効果が特に期待できる栄養素について、説明していきたいと思います。

ビタミンC

ビタミンCは、次のような理由で癌を予防するとされています。

  • 高い抗酸化作用があり、健康な細胞が活性酸素によって傷つけられ癌化すること防ぐ
  • 癌細胞を攻撃する免疫システムを活性化させる

またビタミンCは体内に入ると、癌細胞にだけ毒性の働く過酸化水素に変化します。高濃度のビタミンCには癌細胞を死滅させる効果があるとして、癌治療法のひとつに「高濃度ビタミンC点滴療法」を取り入れるクリニックも増えてきているようです。

血液中のビタミンC濃度が一定の高さになると癌細胞が破壊されるこの療法は、進行癌患者に希望を与えています。残念ながら経口で摂取したビタミンCに、できてしまった癌細胞をそこまで攻撃する力はありません。

ただし意識して食生活からビタミンCを摂取するだけでも、癌の予防効果は十分に期待できます。またビタミンCは、特に肺癌・食道癌・胃癌の予防に有望なことが分かっています。

肺癌のリスクを高める喫煙はビタミンCを激しく消耗するので、喫煙者はビタミンCを積極的に摂取しなければなりません。ビタミンCは1日に100mg必要です。摂り溜めができず消耗しやすい栄養素なので、こまめに摂取していくことをおすすめします。

【ビタミンCを多く含む食品】
赤ピーマン(パプリカ)1/2個…100mg
レモン全果1/2個…40mg
いちご5個…31mg
キウイフルーツ1/2個…27mg

ビタミンD

ビタミンDはカルシウムと共に、骨を丈夫にする栄養素としてよく知られていますが、癌予防においては次の効果も期待されています。

  • 免疫システムを活性化させる
  • 癌細胞の増殖を抑える

国立がんセンターの研究によると、乳癌・大腸癌はビタミンDの血中濃度が低い人に多く、ビタミンDの血中濃度が上昇すると、結腸癌・直腸癌の発症リスクが減少することが分かっています。

またアメリカの閉経後の女性を対象にした調査では、カルシウムとビタミンDを十分に摂取することで、癌の発症リスクが低下したという結果も発表されました。腸でカルシウムとビタミンDが胆汁酸の排出を促し、発がん性物質の発生を抑えるためとされています。

ただし、サプリメントから多量のビタミンDを摂取した場合に、ビタミンD過剰症や肝臓癌・膵臓癌のリスク上昇といった副作用の報告もあります。癌予防と健康管理のためにはサプリメントではなく、食事からビタミンDを摂取するようにしたいですね。

1日に必要なビタミンDは5.5μgです。日本人に平均して深刻な不足はありませんが、魚をあまり食べない人は不足しているかもしれません。

【ビタミンDを多く含む食品】
紅鮭一切れ…23μg
しらす干し10g…5μg
乾燥きくらげ1g…4.4μg
干し椎茸2個…0.6μg

ミネラル

ミネラルは私達の体に必要な微量元素で、日本では13種類のミネラルが必須ミネラルに定められています。ミネラルには私達の体調を整える作用がある他、一部のミネラルで次のような癌予防に関する作用が分かっています。

  • 免疫システムを活性させる
  • 抗酸化作用によって細胞の癌化を防ぐ

中でも研究によってさまざまな癌の予防効果が発表されているのが、セレンというミネラルです。1949年から多くの研究で、動物実験による癌抑制効果が報告されており、特に肺癌・前立腺癌・大腸癌の発症や転移を防ぐことが分かっています。1日の摂取量の目安は、成人男性で30~450μg、成人女性で25~350μgです。

【セレンを多く含む食品】
マグロ赤身70g…77μg
豚レバー50g…34μg
卵黄1個…16μg
全粒粉20g…9μg

ミネラルは不足しても摂り過ぎても健康に害を及ぼす栄養素です。セレンはサプリメントを利用すると、あっという間に摂り過ぎとなってしまうので注意してください。

カロテノイド

カロテノイドは植物に含まれるだいだい色の色素です。高い抗酸化作用を持つことから、生活習慣病の予防やアンチエイジングに効果が期待されています。その抗酸化作用によって細胞の酸化を防ぎ、癌を予防する高い効果があることも分かっています。

カロテノイドの血中濃度が高いほど、乳癌のリスクが低下することが分かっています。ハーバード大学のコホート研究により、健康な女性のグループはカロテノイドの血中濃度が高く、乳癌患者のグループは血中濃度が低いという実験結果が報告されました。その他、肺癌、口腔・咽頭癌、喉頭癌の予防に効果があることも分かっています。

ただしカロテノイドを含むβカロテンのサプリメントは、過剰摂取で肺癌のリスクを上昇させるので、サプリメントではなく食品から摂取するようにしたいですね。基本的にカロテノイドは安全性の高い栄養素で、食事からの摂取で副作用が起こる心配はまずありません。

日本でβカロテンの摂取基準量は設定されていないので、カロテノイドを摂取するなら、1日に緑黄色野菜を1日に120g以上、淡色野菜を230g以上、果物を200g以上食べるようにし、その中にはカロテノイドの多い食品を選ぶようにすると良いでしょう。(厚生労働省の指針「健康日本21」で推奨されている摂取量です。)

【カロテノイドを含む食品】

■緑黄色野菜
にんじん1本…90g
ほうれんそう1束…200g
かぼちゃ1/8個…250g

■淡色野菜
トマト1個…200g

■果物
オレンジ1個…130g
スイカ1/12個…500g
マンゴー1/2個…70g

食物繊維

食物繊維は胃で消化されずに腸へ送りこまれます。水分を吸収して便のかさを増やし排便を促すことで、腸内に悪玉菌が増殖することを防ぎます。また腸内のコレステロールや老廃物をかきとって排出させる作用があります。これらの作用は次のように癌を予防していきます。

  • 発がん性のある毒素を増やす悪玉菌を抑える
  • コレステロール値を抑えて癌の原因となる生活習慣病を防ぐ

また、体内で最大規模の免疫システムを持つのは腸ですから、腸は常にキレイにして免疫機能を高め、癌細胞の活性化を抑えていかなければなりません。ちなみに食物繊維が不足すると、大腸癌のリスクが高まることが分かっています。

ヨーロッパ8ヶ国を対象に行われたコホート研究(特定の地域を対象に長期間の調査を行って統計をとる研究)によると、食物繊維の摂取量が極端に少ない人は、食物繊維の不足していない人に比べ、大腸癌が2倍多いことが分かりました。

しかし、食物繊維を多く摂るほど大腸癌の発症リスクが低くなるというわけではないので、大腸癌を含む癌全般を防ぐためには、1日に必要な量の食物繊維を摂取するのが適切でしょう。

日本人は平均して1日の食物繊維が4gほど不足している傾向にあるので、意識して食物繊維を摂取するようにしてください。成人男性で1日に19g、成人女性で17gが目安となっています。

【食物繊維を多く含む食品】
おから30g…3.3g
納豆1パックg…2.6g
アボカド1/2個…2.5g
乾燥ひじき5g…2.1g

アリウム野菜の硫黄化合物

アリウム野菜とはねぎ、にんにく、らっきょうなど、ネギ属の野菜のことで、独特の刺激臭を持つのが特徴です。このにおいのもとになっている硫黄化合物に、癌を予防する高い効果があることが分かっています。

アメリカの国立癌研究所は、アメリカやヨーロッパの調査で、大腸癌や癌の発症リスクを下げる報告があったとしています。また中国のバイオテクノロジー研究所などの動物実験で、らっきょうに腫瘍の炎症を抑える効果があったことも報告されています。

またアメリカの国立癌研究所は1990年に「デザイナーズ・フードプログラム」を発足させ、癌抑制に効果のある食品を示唆しました。その中で最も重要度の高い食品として、にんにくを取り上げています。

にんにくは積極的に料理へ活用したいですが、薬効が強力ゆえに刺激が強く、生のまま食べたり皮膚に触れたりすると粘膜を傷つけたり、皮膚の炎症を起こすおそれがあるので注意してください。

イソフラボン

イソフラボンはマメ科の植物に含まれるポリフェノールの一種です。食品では大豆製品に多く含まれています。イソフラボンは抗酸化作用や女性ホルモン様の働きがあることで知られており、女性ホルモンに働きかけることで癌を予防します。

多目的コホート研究によって平成2年から10年間、国内の4地域に住む女性が対象の調査が行われました。調査でみそ汁や大豆製品を多く食べている人ほど、乳癌の発症率が低くなっていることが分かっています。

また男性の前立腺癌においても、多目的コホート研究が国内の各地域の男性を対象に行った調査でイソフラボンの多い食生活を続けていた人に、前立腺癌が少ないことも分かりました。

毎日習慣的にみそ汁や油揚げ、豆腐、納豆を食べ続けることで、癌の原因となるホルモンの働きを抑制し、乳癌や前立腺癌を予防することができるのです。ただしイソフラボンの過剰摂取は、かえって癌の発症リスクを高めてしまうので、サプリメントの大量摂取は控えてください。

食品からの摂取は安全です。1日70~75mgのイソフラボンを目安に大豆製品を食べてください。

【大豆製品に含まれるイソフラボンの平均量】
豆腐1丁…100mg
豆乳200㏄…40mg
煮大豆50g…36g
納豆1パック…30mg
油揚げ1枚…20mg

食品で癌を予防する時のポイント

上記で挙げた栄養素も、過剰摂取すると、癌を予防するどころか体調を崩してしまう可能性が出てきてしまいます。不足しないように摂取する、心持ち多めに摂取するといった食べ方がちょうど良いでしょう。

同じ物ばかり食べると、栄養バランスが偏り逆効果です。栄養素は互いに作用しながら機能しているからです。テレビ番組で「〇〇が癌に良い」と紹介されるたび、スーパーでその食品が品薄になる社会現象がしばしば起こりました。

しかし、いくら体に良い食品でも、そればかり食べることに意味はありません。たくさんの品目を献立に取り入れれば、自然と体に良い栄養素が万遍なく摂取できるでしょう。栄養の管理が難しい、面倒くさいと感じる方は、とにかく野菜と果物をしっかり食べてください。

間違いなく野菜と果物は、癌予防の効果があることが分かっているからです。まずは健康日本21で推奨している「野菜は1日に350g以上、果物は200g以上」を目安に、野菜と果物を食べてください。

また当然ながら、癌予防に効果のある食品を1~2度食べただけで癌にかからない、癌が治るということはないので、あくまでも癌予防対策のひとつとして、上記の栄養素を長期的に摂取していってくださいね。

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