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やけどにアロエが有効なのは1度まで!水ぶくれができたら使えない

医者いらずといわれる、昔からなじみのある民間薬アロエ。特に「やけどにはアロエ」とまで言われるぐらいなじみの深いものでもありますね。多くのおうちには1鉢や2鉢あるんじゃないでしょうか。

しかし、アロエをやけどに使っていいのは軽症の時だけです。ある程度以上のやけどにアロエを使ってしまうと、かえって重症化し治癒までの時間が長引くことにもなりかねないのです。

民間療法の真実にせまって、アロエの正しい利用法を見てみましょう。

アロエは中のゲルを外用するのが基本

今回話題として取り上げるのは「キダチアロエ」です。町中どこにでも見られるアロエですね。

▼キダチアロエ
キダチアロエ写真

それに対して、食品や化粧品原料としてよく使われているのは暖かい地方に育つ「アロエベラ」です。

▼アロエベラ
アロエベラ

アロエにも様々な種類がありますが薬効成分が含まれていて身近なものはこの2つだと言って良いでしょう。キダチアロエの方が少し小さめですが、キダチアロエは茎が伸びて背が高くななるのに対して、アロエベラは葉っぱ自体が大きくなるので、利用できるところがうんと多いのです。

歩留まりの関係から、食品として使われているのはアロエベラが多いと思われます。

アロエの外用に関する有効成分はアロエシンとアロエマンナン

アロエシンは水溶性の低分子化合物で、いくつかの関連化合物が見つかっています。水溶性の物質ですので、皮膚への浸透性はあまり高くありません。

もう一つのアロエマンナンは多糖類ですので高分子化合物です。つまり、皮膚表面から直接吸収されることはほとんどありません。

と言うことは、何らかの物理的加工、例えば脂質と組み合わせて皮膚になじみやすくするなどの加工を行わないと、外用薬としての効果はそれほど高いものではない可能性があります。

それでも、特に低分子のアロエシンについては抗炎症・抗酸化活性が認められていることから、外傷や火傷の治癒を早めたり痛みを抑えたりできることが、試験管レベル・動物実験レベルの研究で示されています。

また、アロエシンはメラニンの生合成を抑える働きから、化粧品で美白効果を期待されて利用されていますし、アロエマンナンも医薬品原料としての可能性を期待されている物質です。

外傷に効果があるのは中のゼリー状物質

アロエは、葉っぱ全体を使うこともあれば、外の緑の皮の内側にある黄色い内鞘を利用することもあります。また、内部の透明なゲル状物質だけを用いることもありますね。

今回紹介しているやけどの治療には、その透明なゲル状物質の部分だけを利用します。外傷の場合も同じです。外側の皮や内鞘は、皮膚を傷つける恐れがありますし、感染の恐れもありますから完全に取り除いてください。

また、緑の外皮や黄色の内鞘には、アロエの苦み成分であり下剤成分でもあるアロインやアロエエモジンがたくさん含まれています。この成分は腸の蠕動運動を活発にし、子宮を収縮させる働きがあります。

そして同時に活性酸素の第一段階であるスーパーオキシドアニオンを作り出す働きもあるのです。この働きは初期の腫瘍や外来の病原体をやっつける働きがあると同時に、身体に負荷をかけると言う諸刃の剣でもあります。

さらに、抗炎症作用と密接な関係がある抗酸化活性は、活性酸素が生成されると相殺されてしまいますので、外用に透明部分以外は使わないようにしましょう。できるだけ中身を崩さないようにして患部に貼り付けて下さい。

そして、実は問題はこの後なのです。アロエのゲル状の部分を貼ったのは良いけれど、それをどうやって固定するかですね。

これには正解が見つけられませんでしたので、皆さんのやりやすい方法で良いでしょう。現実的なのは食品用ラップをアロエより二回りほど大きく切って、アロエを覆った上からテープで固定してしまうと言う方法ですね。

指くらいならラップで巻いてしまってもいいかも知れません。食品用ラップは医療用品ではありませんが、最近注目の湿潤療法にも用いられるぐらいですので問題ないでしょう。念のため、周辺の皮膚にトラブルが起こっていないかについては注意しておいて下さい。

アロエを貼りっぱなしにするのもあまり感心できません。せいぜい30分ぐらいを目安に取り外して、流水でよく洗っておいて下さい。

アロエを使ってもいいのは1度のやけどで範囲が狭い時だけ

やけどを判断する時に大事なことが2つあります。1つはやけどの重さで、1度から3度の4段階(2度は浅・深で2段階)に分けられています。

もう一つは火傷の面積です。1度のやけどは生命に危険が及びにくいので、一般的にはやけど面積に算入しないのですが、それが本当に1度かどうかは、一般人には判断しにくいこともあるので注意が必要です。

水ぶくれができたら原則として病院へ行く

やけどは、表皮だけにダメージがある1度が最も軽いものです。皮膚が赤くなってヒリヒリすることもありますが、水ぶくれはできません。治療すれば数日で治ります。

水ぶくれができるのは、表皮の下の真皮にダメージが及んだ場合です。これが2度のやけどですが、ダメージの範囲が浅い場所でとどまっている浅達性2度熱傷の場合、適切な治療を受ければ2~3週間で治癒します

一方、真皮の深いところまでダメージが及んだ深達性2度熱傷の場合、治癒までに4~5週間かかるだけでなく、状況によっては植皮手術が必要になる場合もあります。

さらに、ダメージが皮下組織に及んだものが3度のやけどです。この場合は神経まで焼けてしまっているため、3度のやけどに至った個所では痛みがありません。もちろんその周辺は2度のやけどになるので、そこでは強い痛みがあります。

3度のやけどは植皮手術を行わないと治らないことがほとんどです。また、こうした深いやけどはショック症状も出やすいので、すぐに救急車を呼んだ方が良いでしょう。

やけどには専門治療が必要とされることが多い

病院を受診する場合外来で対応可能なのは、水ぶくれレベルの2度のやけどで両てのひらの面積の7倍程度まで、より重い3度のやけどの場合、両てのひらの面積ぐらいまでの大きさのやけどです。それ以上は入院対応になります。

もちろん、負傷者の年齢や体調などに応じてもっと小さいやけどでも入院対応になる場合もあります。

入院対応になる場合でも、2度で体表面積の30%、3度で10%程度より広い面積の場合や、顔・会陰部・手足など後遺症が残りやすい部位のやけどでは、一般入院ではなく、やけどの専門病棟への入院になるでしょう。

その他、化学熱傷や気道熱傷、電撃傷なども専門性の高い病棟での治療になることが多いと思われます。

アロエの葉っぱの大きさが参考になる

やけどしたらすぐに水で冷やすと言うことはもう常識でしょう。原則として蛇口からの水道水の流水で冷やします。

この段階で、だいたいやけどの範囲が判ると思いますが、その一辺がキダチアロエの葉っぱ1枚の幅より幅広であるようだったら病院に行く準備をして下さい。また、どんなに小さくても水ぶくれができた場合受診された方が、あとが残らなくて安心です。

さらに、片腕・膝から下の片側脚部・膝から上の片側脚部・お腹と胸の半分・背中の半分・頭と顔、のいずれかより広い面積の場合、救急車を呼ぶことをお勧めします。

また、やけどの面積に関わらず、やけどの部位が青白く見えたり、やけどの中心部に痛みがなかったり、さらには顔面蒼白・浅い呼吸・気が遠くなるなどのショック症状が見られた場合は、周囲の人が救急車を呼んであげましょう。

そして、幸いにしてアロエの葉っぱより狭い幅のやけどで、水ぶくれになることもなく表皮が赤くなるだけであれば、アロエを貼っておくのも悪くありません。

受診する前にアロエを貼ってはいけない

冷やしている際にやけどの範囲と程度が判り、受診することにしたらアロエを貼ってはいけません。アロエだけではなく、一切何かを貼ったり塗ったり付けたりすることも禁止です。

充分冷やし終わったら、濡れたタオルを患部に当てて、ビニールなどで周囲が濡れないように手当てするだけにして病院へ行って下さい。タオルを押し付けるのもいけません。

そうしておくと、お医者さんが診察する時に塗ったり貼ったりしてあるものを取り除かなくて済みます。貼ってあると、アロエなどを取り除く際に水ぶくれが破れてしまって重傷化することもありますので注意して下さい。

また、痛みがあるため、冷やすためのタオルを押し付けがちになりますが、これも傷を深くする原因になる場合がありますので、できるだけそっと冷やすだけにしておいて下さい。もちろん乾かさないように注意して下さいね。

冷やす時間は10分程度で良いが濡れタオルは忘れずに

熱伝導による症状の悪化を防ぐ時間は10分もあれば充分ですが、ダメージを受けた部位から炎症物質が放たれるのを抑える意味で、30分とか1時間とか言う時間が示される場合もあります。

実際には、冷たい水を浸したタオルで患部を覆って病院に行くことを優先した方が良い場合もあります。

四肢であれば、タオルを巻きつけることもできますが、例えば背中の場合は自分ではどうしようもありませんね。助けを求められる人がいない場合は、救急車を呼ぶと同時にシャワーを使って救急車が来るまで冷やし続けるなどの対応を取って下さい。

10分程度は冷やし続けることを原則に、あとは臨機応変に対応して下さい。とにかく、病院に到着して治療が開始されるまで、患部が濡れて冷やされていると言う状態をキープするのが基本です。

冷やすのは水道水で行い氷を使うことは避ける

氷で冷やしたくなる気持ちは判りますが、低温すぎるためかえって組織にダメージを与えてしまいます。水道水の流水で冷やし続けることが一番いいですね。

ただ、真夏などで水道水の温度が高すぎる場合は、洗面器などに受けて氷を入れ、10℃以上程度の冷水にして冷やして下さい。

また、下肢や背中、腹部などのように流水で冷やしにくい場合は、浴槽やシャワーを利用して冷やして下さい。水が溜まるのを待つのではなく、冷やした後の水がたまるようにしておくと、下肢のやけどなどには便利です。

一方で、そうした冷やし方をすると、季節によっては低体温が心配な場合もありますので、患部以外の冷やし過ぎには充分注意を払っておきましょう。

やけどは受傷してすぐより、しばらく経ってからの方が程度も重く面積も広くなりがちです。ですので、「アロエでも貼っておけばいい」と油断せずに、しっかり治療して下さいね。

注意!アロエには接触性皮膚炎を起こす物質が含まれている

アロエを貼ったらかぶれたと言う経験をお持ちの方も少なくないと思います。実は、アロエには接触性皮膚炎を引き起こす物質が含まれているのです。

アレルギー反応ではありません。目に見えないごく細かな針がアロエには含まれていて、それが皮膚を刺激することで炎症が引き起こされることがあるのです。

シュウ酸カルシウムの針状結晶が刺激性物質

シュウ酸カルシウムは一部の植物に含まれる物質です。毒性物質ですので、多く含まれていると食用にはなりませんし、間違って食べると生命には関わらない物の、中毒症状が起こります。

有名なところでは観葉植物としておなじみのディフェンバキアやクワズイモがあります。里芋っぽいので間違って食べないようにして下さいね。

シュウ酸カルシウムは針状の結晶を形成します。また、砂状の結晶を構成する場合もあります。

このシュウ酸カルシウムの針状結晶は、アロエのほかパイナップルやキーウキフルーツ、サトイモや山芋などにも含まれています。シュウ酸カルシウムの針状結晶の電子顕微鏡写真を見て頂きましょう。

キウイフルーツ果実から精製したシュウ酸カルシウム針状結晶の電子顕微鏡写真
キウイフルーツ果実から精製したシュウ酸カルシウム針状結晶の電子顕微鏡写真。

これは、植物に含まれるシュウ酸カルシウムの針状結晶が害虫に突き刺さり、そこにたんぱく質分解酵素が働くことで、強力な防虫効果が表れていると言うニュースです。

虫だけじゃなく、私たちも、パイナップルで口の中が痛くなったり、山芋で痒くなったりしますよね。この針状結晶がアロエにも含まれているので、外用薬として用いる際にも注意が必要であると言うことになるのです。

アロエのゲル部分はできるだけそのまま使う

アロエのゲル部分をすりつぶしたりジュースにしたりと言う利用方法も存在しています。しかし、できれば果肉はそのまま利用した方がトラブルが起こりにくいのではないかと推定されます。

と言うのも、アロエの透明なゲル部分にはシュウ酸カルシウムが含まれていますが、袋状の組織に束ねられて収納された状態で含まれているため、そのままだと刺激性が現れにくいのです。

一方、その袋状の組織はミキサーにかけると簡単に破れてしまうと言う報告があります。症例報告から参考になる写真をどうぞ。

アロエの葉の内側のゼリー状部分を鏡検すると、袋様物質に包含された針状結晶の束状集塊が多数認められた(写真3)。

その袋様物質はジュースミキサーで簡単に破れ、パッチテスト用抗原のアロエ・ジュース中に約100個/1視野(×100)のばらばらになった針状結晶が確認された。

健常対照者10名のパッチテストで、針状結晶を含むアロエ・ジュースには疑陽性4名、陽性6名が認められた。しかし,針状結晶を除いた検体に対して明らかな陽性を示した者は皆無であった。

その結果、キダチアロエに含まれる蓚酸カルシウムの針状結晶は刺激性皮膚炎を惹起し得ることが判明した。

写真3
キダチアロエに含まれる蓚酸カルシウムの針状結晶

このような現象がありますので、アロエはすりつぶしたりジュースにしたりせずに、ゲル状のまま患部に貼り付け、適当な時間で剥がした後はこすらずに水洗いしておくのが良いでしょう。

なぜわざわざ袋にしまっておくのか、ちょっと不思議な気もします。もしかすると、かじってくるような害虫にだけ罰を与えて、上に乗っかってるだけの虫には優しいのかもしれませんね。

湿潤療法と言う選択肢もあるがその場合はアロエは使わない

近年注目されている湿潤療法と言う治療法があります。やけどについて、浅達性2度熱傷くらいまでは家庭で対応できるとしている病院もあるようです。

薬局で白色ワセリンを買ってきて、食品包装用ラップに延ばして患部を覆うと言う物です。もちろん最初に消毒をしてはいけないとか、毎日の交換とか様々な注意事項があるので、専門病院のサイトなどで調べて下さい。

アロエを使っても良いが小さく軽いやけどという原則を忘れずに

このように、やけどについては水ぶくれができたら受診、水ぶくれができなくても面積が広ければ受診と言う原則を覚えておいて下さい。

そして、もともと放っておいても良いくらいのやけどだけど、ヒリヒリして鬱陶しいと感じたらアロエを利用すると言うぐらいがちょうどいいでしょう。

湿潤療法を推奨している病院のサイトに、受診した方が良い場合の判断基準に、とても良い言葉がありました。

「怖くて自分では処置できないとか自信がない場合は受診して下さい。」

こんな意味の表現です。でも、まさにその通りだと思います。どうしたら良いか判らないから専門家に診てもらうのですよね。

アロエにはツリーアロエと言う20m近くまで育つものから、指先に乗る程度のものまでたくさんの種類が存在しています。そのうち薬効があるのはキダチアロエを含めてほんの数種類なんですよ。
キャラクター紹介
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