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1年に600人の男性が乳癌に!?女性との差はその初期症状

breast cancer in men

乳がん患者150人のうち、1人くらいは男性であると聞いたら、やっぱり驚きますよね。でも実際に男性にも乳がんにかかる人はいるんです。

国立がん研究センターが2015年の予測値として発表した乳がん罹患数は89,400人で、これはがん全体の中で第5位に入っています。

その1/150ですから、1年間に600人もの男性が乳がんにかかると言うことになるのですから驚きですね。

(国立がん研究センター 2015年のがん罹患数、死亡数予測より)

男性にも乳腺があるから当然乳がんになる!女性の乳がんとの差は?

男性には子宮がありませんから、男性に子宮がんはありません。女性には前立腺や精巣はありませんから前立腺がんや精巣がんはありません。

しかし、機能は退化しているものの、乳腺自体は男性にも存在するのです。だから、頻度が低いとは言え男性にも乳がんが存在すると言うことになるのです。

男性の乳がんと女性の乳がんに基本的な差はない

女性においても第一近親者(母親・姉妹・娘)に乳がんの既往がある場合、それがリスクファクターになりますが、男性でも同じです。

女性でも子供の乳がんは、1年間で乳がん罹患者4万人に1人と言う、極めてまれな病気です。したがって、単純計算ですが、男性の場合は85年に1人出るかどうかというレベルですので、事実上ないと言い切っていいでしょう。

診断を触診やマンモグラフィー、超音波エコーで行ってから生検で確定すると言う流れも同じです。強いて違いをあげれば、男性の方が10歳くらい罹患者の平均年齢が高くなると言うことでしょうか。

治療の方法も女性の場合と基本的には変わりませんし、治療後の転移や生命予後に関しても、女性と同じと言っていいでしょう。女性の乳がん患者の5年生存率はほぼ9割です。

ですので、男性の乳がんは珍しいものの、性別を無視すれば特別な病気ではありませんから、治療方法なども確立していますので安心して治療に取り組んでください。

男性の治療は乳房切除術と抗がん剤や放射線療法

基本的にはこれも女性と同じなのですが、乳房温存術は多分選択肢にはないと思います。温存すべき部分がほとんどないわけですので、温存術のメリットがありません。必要に応じて乳頭部分の再建術が行われるかもしれません。

まず、がんの進行度合いを見て局所的な治療の手術が行われます。その上で、局所再発のリスクがありそうな場合は放射線療法も行われることになります。

取り出したがんの組織を調べて、女性ホルモンを取り込んで増殖するための受容体が存在する場合には、女性ホルモンを抑制したり、女性ホルモン受容体の働きを阻害したりするホルモン療法がおこなわれます。

さらに、がん細胞の表面に増殖因子HER2たんぱくが存在するかどうかを確認し、存在した場合はその働きを抑制する「分子標的薬」と呼ばれるお薬を使って治療します。

これらのいずれの因子も存在しないタイプのがんであった場合、通常の抗がん剤が使用されます。乳がんは比較的抗がん剤がよく効くがんですが、男性乳がんであっても同じように効果を発揮します。

男性乳がんは非常に珍しいといっても女性の乳がんと同じですので、治療方法が確立されているのです。

男性にも乳腺があるため他の乳腺に関する病気も起こる

男性の乳腺に関する病気と言えば「女性化乳房」です。文字通り男性の胸が女性のバストのように膨らんでくる症状ですね。

その膨らみ方はまちまちで、片側だけだったり両側ともだったりします。また、乳頭部分がわずかに膨らんだだけのこともあれば、女性顔負けの立派なバストになってしまうこともあります。

女性化乳房は半数以上の少年が一度は経験する現象

実は思春期の少年の60%がこの女性化乳房を経験します。大抵の場合、胸に小さなしこりを感じる程度です。これは成長に伴うホルモンバランスの乱れによるものですから、全く心配ありません。

しかし、ただでさえ心の成長と体の成長の足並みがそろわない時期ですので、不安から精神的に不安定になることもあるでしょう。また、実際にシャツにこすれて痛みを感じることも少なくありません。

先にお話しした通り、未成年者の乳がんは、ほとんどありえない病気ですので受診する必要もないでしょう。但し、何かお薬を飲んでいる場合はその副作用の可能性がありますので、お薬を出して下さっているお医者さまには報告しておきましょう。

放置しても数か月から1年くらいで消えることがほとんどですが、あえてお医者さんに連れて行き、専門家から心配ないと言う説明をしてもらうのも心の安定には良いかもしれませんね。

成人男性の乳房の異常はがんであるかどうかに関わらずすぐ受診を

もちろん男性乳がんだったら大変ですから、胸にしこりやふくらみがあったら、まずは内科の先生に相談されるのが良いでしょう。乳腺外来へ行くのが手っ取り早いのですが、さすがに男性には敷居が高すぎるのではないかと思います。

その段階で、お医者様が適切な診療科への紹介を行って下さるでしょう。がんに関する検査を行って、男性乳がんであれば、先にお話ししたような流れで治療に取り組むことになります。

そして、乳がんではなく女性化乳房であったと言う診断が出たら、今度は女性化乳房の原因を探らなければなりません。

実際の所、女性化乳房の原因で最も多いのは「特発性」、つまり原因不明と言う物です。しかし、そうでない場合にはいろんなトラブルが考えられます。他の病気でお薬の処方を受けている場合、それが原因になることもあります。

女性化乳房で最も怖いのは他のがんが原因である場合

比較的若い男性に多い精巣がんは女性化乳房をもたらす疾患の一つです。肝臓がんや肝硬変を含め肝機能が落ちた場合にも発生することがありますね。また、遺伝子異常のクラインフェルター症候群も女性化乳房をもたらします。

このように他の病気が裏に隠れている場合、そちらの治療をしっかり行うことが重要になります。

その他、

  • 前立腺疾患の治療薬
  • 男性型の薄毛(AGA)の治療薬
  • 各種ホルモン剤

なども女性化乳房をもたらすことがあります。こうした場合は処方を受けているお医者様にすぐ報告して下さい。

乳腺が発達してしまうのが女性化乳房なので、女性化乳房は男性乳がんのリスクファクターになるのです。

男性乳がんのリスクファクターは女性化乳房・肥満・遺伝子異常

女性化乳房のリスクファクターで紹介した遺伝子異常のクラインフェルター症候群は、男性乳がんのリスクファクターであることが判りました。

その他、女性化乳房そのものや肥満も男性乳がんの誘因になると言う研究があります。

男性乳がんに関するアメリカでの研究

アメリカでは、年間2000人程度の男性乳がん患者が出ていると言うことです。やはり、アメリカでも女性の1%にも満たない発症数のようですね。

アメリカ国立がん研究所は、複数の研究データを集めることで、この希少ながんに関するリスクファクターをまとめた中間報告を発表しています。

高いBMIは男性乳がんのリスクファクターになることが示されました。最も高いBMIグループは最も低いBMIグループに比べて35%男性乳がん罹患のリスクが高いことが判りました。

多くの場合、余剰な乳房組織と高いエストロゲンレベルを持っている肥満男性で観察されたリスクの上昇は、閉経後女性の乳がん罹患リスクとよく似ています。

また、リスク要因であるクラインフェルター症候群と肥満を除いた女性化乳房は、それがない人に比べて10倍も高い男性乳がんリスクがあることが判りました。

アメリカ人の「最も高いBMI」と言うのは、なかなか日本人ではお目にかかれないサイズじゃないかと想像してしまいますね。だから一概に日本人に当てはめるのは難しいかもしれません。

日本人でも女性の肥満の場合、閉経前においてはリスクを下げる要因になり、閉経後はリスクが上がると言うことが判っています。ですから、生理のない男性にとって肥満が乳がんのリスクになることは充分あり得ます。

クラインフェルター症候群は男性の染色体異常だが症状は軽い

染色体異常と言えばもっとも有名なのが21番染色体が3本になっている21トリソミー、通称ダウン症候群ですね。一方、23番目にある性染色体が3本になっているものにクラインフェルター症候群とトリプルX症候群があります。

正常な性染色体は、男性でXY、女性でXXですが、この二つの症候群ではX染色体が一本多くなり、男性でXXY、女性でXXXとなっています。この男性の方のものがクラインフェルター症候群です。

女性の方のトリプルX症候群は、検査して初めて染色体に異常があると判るだけで、身体には異常が生じません。また、スーパー男性症候群とも呼ばれるXYY症候群の染色体タイプの男性にも身体的異常はないのです。

もちろんトリプルXの女性もXYYの男性も普通に子供を作ることができます。

それに対して、クラインフェルター症候群は男性として生まれますが、男性不妊になり易く、身体的な虚弱さがある場合が多いのです。そして成長してからの女性化乳房も比較的多く見られるようです。

男児500人~1000人に一人と言う割合ですから、決して珍しいと言う異常ではないですね。テストステロン補充療法で改善可能ですから、それほど心配なものでもありませんが、男性乳がんのリスクは高めになります。

男性の乳腺疾患は病院に行きづらいと感じてしまいそうですが、医療者はプロですから遠慮も恥ずかしがることも無用です。

おかしいと思ったらすぐに受診して下さい。

男性乳がんは特徴的な症状が見つけやすい

まず何と言っても、しこりが見つけやすいと言う特徴があります。女性化乳房があればそれ自体が異常ですので受診することになります。それがなければ、乳房の組織に隠れることがないだけにすぐにしこりが見つかります。

自己チェックは女性とかわらず、触診が一番有効です。

脇から胸にかけての胸の外側のラインを念入りに触ってしこりのようなものが無いか触診してください。お風呂上りに鏡でチェックすると左右の形が比べられるのでおすすめです。

また、男性の乳がんは痛みを訴える人が多いそうですので、これも受診のきっかけになります。

それでも発見が遅れることが多いのが男性乳がん

これには大きな理由があります。それは、男性が乳がん検診を受けないからです。いたって単純明快ですね。でもこのことは女性に皆さんに大切なことを示唆しています。

乳がん検診を受けないことが、乳がんの発見を遅らせていると言う事実は、検診を受けていない女性に対してもそのリスクを示していると言うことなんです。

もう一つは「男性である自分が乳がんにかかるわけがない」とか「男性なのに乳房のことで病院に行くのが恥ずかしい」とかの精神的な理由が受診を遅らせているのです。ある意味、これは男性にとって怖い事と言う意味なんです。

でも、怖がって受診を遅らせると、もっと厄介なことになってしまいます。検診がなくても男性の乳がんは女性の物より見つけやすいのですから、異常を感じたら受診して下さい。

女性は40歳を超えたら自治体が行う検診がありますね。必ず受けて、早期発見と早期治療を目指しましょう。

乳がんは甲状腺がん・皮膚がんに次いで3番目に5年生存率の高いがんです。それだけに検診には重要な意味がありますので、怖がらずに受けるようにして下さいね。

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