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妊娠32週に出産可能?胎児の体重、母体の変化と注意したいトラブル

エコー画像を見る妊婦

妊娠期間は、妊娠0~40週の計280日間です。おめでたが発覚する嬉しい時期の妊娠1~3ヶ月、安定期の妊娠4~7ヶ月、いよいよ妊婦さんらしい体型になる後期の妊娠8~10ヶ月に分けられます。

中でも妊娠期間の中で赤ちゃんにとって重要な区切りを迎えるのが、妊娠32週目(妊娠9ヶ月0週)なのです。

妊婦さんもこれから妊娠の予定がある女性も、気になる妊娠32週目のアレコレについて一緒にチェックしてみませんか。

ふっくらして呼吸もできるよ!妊娠32週目の赤ちゃんの特徴

妊娠32週目(224~230日目)の赤ちゃんの大きな特徴は次に挙げる3つです。

  • ふっくらして新生児と変わらない外見に
  • 肺の機能が完成する
  • 臓器の機能はほとんど完成する

妊婦検診で行う超音波検査の画像を見ても、この頃になると新生児に近い外見まで成長していることが分かります。

32週目の胎児の超音波検査画像

32週目の胎児の大きさ

個人差はありますが、32週頃の赤ちゃんの体重は1,400~2,200g、全長は脚を伸ばすと43~46cmくらいです。

日本産科婦人科学会周産期委員会「妊娠週数別の胎児体重の基準値」によると、32週0日目の体重は、正常に発育している赤ちゃんの95%が1,368~2,242g内におさまっており、その平均体重は1,805gとなっています。

正産期(妊娠37週0日~41週6日)に生まれた新生児の正常な体重は 2,500~3,999gとされ、32週の赤ちゃんは新生児の大きさにかなり近づいてきた状態といえます。

ちなみに産科で教えてもらう赤ちゃんの体重というのは、超音波検査でチェックした赤ちゃんの頭の大きさ、大腿骨の長さなどから公式に基づいて算出された「推定体重」のことです。

正確な数値ではなく実際の赤ちゃんの大きさとは多少の誤差があるので、赤ちゃんが元気に成長していることが確認できれば、数値を見て「小さい」「大きい」と心配しなくても大丈夫です。

推定児体重には±10%程度の誤差がともなうことが知られています。

したがって推定児体重が 2000g と推定された場合±200 g (すなわち 1800g から 2200g の範囲)程度の誤差が生じうることになります。

32週目の胎児の外見

32週頃の赤ちゃんは4頭身で、皮下脂肪が増えてふっくらとした、いわゆる「赤ちゃんらしい」外見になってきます。それまでは赤みが強かった肌の色も、皮下脂肪が増えることで薄いピンク色に見えるようになります。髪や爪も生えています。

赤ちゃんが成長し、すでに超音波画像には全身がおさまりきらなくなっています。見ることができるのは主に顔のアップが中心になるかと思いますが、顔立ちや表情がはっきり分かるので愛しさも増し、赤ちゃんに会える日が待ち遠しくなってくるものです。

顔立ちを見て「パパ似」「お姉ちゃん似」と気付けるほど目鼻立ちができあがり、運が良ければ指しゃぶりやまばたきといった可愛い仕草を目にすることもできます。

32週目の機能の成熟について

ほとんどの機能が成熟します。

脳の神経回路
妊娠8ヶ月に入る頃には脳神経がほとんど完成します。

妊娠7ヶ月目には視覚・聴覚・嗅覚が敏感に機能するようになっているので、羊水の味、体外の音、お母さんの声もしっかり分かります。目も開き、時々まばたきもします。

32週頃には、脳がどんどん大きく成長し、頭が大きくなっていく時期です。大脳の発達により脳のしわもどんどん増えて、この頃の赤ちゃんは記憶したり喜怒哀楽の感情が湧いたりするようになります。

目(網膜)
32週には視覚が発達し、脳と視神経の連携はとれるようになっていますが、目の「網膜」という器官の血管はまだ発達していません。網膜の血管が成熟するのは36週頃なので、それより早く生まれると「未熟児網膜症」を発症するリスクが生じます。
内臓
心臓は4週頃に拍動し始め、32週には機能がほぼ成熟しています。

消化器の機能はほぼ成熟していますが、32週の時点ではまだ完全ではありません。

生後7か月には腎臓・膀胱の機能が成熟し、赤ちゃんが口から羊水を飲むようになるので、30分おきにおしっこが出るようになります。

骨・筋肉
生後8か月にはすでに骨・筋肉がほぼ完成しています。
体温調節
30週頃には体温調節がほぼできるようになってきます。
免疫機能
胎内は無菌状態に保たれ感染症の心配はありませんが、赤ちゃん自身の免疫機能はまだ完全に整っていません。胎内でお母さんから免疫グロブリン(IgG)を少しずつもらって免疫力を高めている最中です。
睡眠リズム
生後8か月に入ると、次第に睡眠リズムが決まってきて、起きている時と眠っている時がはっきり分かれるようになります。
血液
29週頃から、生後の赤ちゃんと同じように骨髄で血液を作ることができるようになり、32週頃になると血液が全身を循環する機能が発達してきます。(29週頃までの赤ちゃんは、脾臓などで血液が作られています。)
呼吸
32週に赤ちゃんが迎える大きな変化が、呼吸機能の成熟です。

羊水の中で過ごす赤ちゃんの肺の中は羊水で浸され、肺の中にある肺胞という袋が押つぶれているので胎内で肺呼吸をすることはありません。32週で「肺サーファクタント」という物質が完成し、自発的に肺呼吸ができるようになるのです。

肺サーファクタントというのは、肺の表面を覆う液体です。肺サーファクタントには界面活性剤の役割があり、表面張力のせいで伸縮しにくい肺胞が滑らかに膨らむのを補助します。

もしも肺サーファクタントがないと肺胞が押つぶれたままとなり、呼吸はできなくなるので、生きていくためには欠かせない物質です。

ちなみに、赤ちゃんは胎内では胎盤呼吸をしていて、へその緒を通してお母さんから酸素を受け取り二酸化炭素を返すことで、生命を維持しています。肺の機能は妊娠6ヶ月頃から発達し始め、妊娠7か月に入ると肺呼吸の訓練も始まります。

赤ちゃんは口から羊水を飲んでおしっこを出すようになりますが、これは誕生後に自力で呼吸をしたりおっぱいを吸ったりするための訓練にもなっているのです。

32週未満で肺サーファクタントが不完全な赤ちゃんが生まれると人工呼吸が必要になりますが、32週を過ぎると肺呼吸の機能が完成し自発呼吸ができるようになるので、養育がスムーズになります。

32週目の胎児の性別

赤ちゃんの生殖器は妊娠8ヶ月にほぼ完成しており、超音波画像を見れば男の子は降りてきている睾丸、女の子はリップマークのような大陰唇が見えることもあります。

そして32週頃には、お尻の超音波画像から外性器の形状がはっきり見えて性別を特定することができるので、赤ちゃんの名前を考えたりベビー服を購入したりと、本格的な出産準備を始めることができるようになります。

特に28~33週頃は女の子の外性器が確認しやすい時期です。

脳の発達により、赤ちゃんの個性も出てくるようになって超音波画像を見るのが楽しい時期ですね。

9か月目に突入!妊娠32週目の母体の変化と健康について

妊娠後期の真ん中で、お母さんもすっかり妊婦さん体型です。妊娠8カ月目に引き続き、

  • お腹がよく張る
  • おりものが増える
  • 食欲不振・吐き気が起こる
  • 腰痛・頻尿・便秘が起こりやすい
  • こむら返りが起こりやすい

といった現象が起こりますが、赤ちゃんが大きくなった分、症状もより強くなりがちです。

妊娠32週目のお腹の大きさ

子宮底長は30㎝くらいになります。

妊娠32週目の羊水の量や様子

32週目には、羊水の量が800~1,000mlと最も多くなります。

7ヶ月頃から赤ちゃんが羊水を飲んで排泄し始めるので、羊水の成分のほとんどは赤ちゃんの尿で占められるようになります。しかし羊水は常に胎盤でろ過されているので無菌状態で、赤ちゃんにとっても無害な状態です。

妊娠32週目の赤ちゃんの姿勢

赤ちゃんはかなり大きくなっていて、羊水の中で動き回ることができなくなっています。頭が重くなるため、ほとんどの赤ちゃんは頭を下に向けた「頭位」の姿勢を取り、骨盤に頭を固定するようになります。

妊娠32週目の母体の体調

体重が増えてくるので動くと疲れやすくなります。また、お腹が大きくなって前にせり出してくるので腰に負担がかかりやすくなり、腰痛も起こりやすくなります。足の付け根に痛みを感じる人もいます。

膀胱が子宮に圧迫されるので、頻尿や尿漏れに悩む人も増えてきます。妊婦さんはホルモンの影響で便秘しやすくなりますが、この頃になると腸が圧迫されて機能が低下し、ますます便秘がひどくなる傾向もみられます。

子宮底がみぞおちのほうまで上がってくるので、胃も圧迫され食欲不振やつわりのような吐き気・嘔吐の始まる人も出てくる時期です。また心臓や肺も圧迫されて呼吸がしにくくなり、少し動いただけで息切れしやすくなります。

妊娠後期は、就寝中に足がつりやすくなります。原因は、ミネラル不足やお腹の圧迫による血行不良だといわれています。

妊娠32週目のお腹の張り

お腹の張りはキュッと子宮が硬直するような感覚のことで、子宮の筋肉が緊張した時に感じられます。

妊娠初期からしばしばみられる現象ですが、特に30週を過ぎる頃からお腹の張りが増え始めます。お腹が頻繁に張ると不安になってしまいますが、多くは誰にでもみられる生理現象なのです。

この時期にお腹の張りが増える理由の一つには、分娩に向けて準備のために子宮が収縮をするようになることが挙げられます。

また32週頃になると子宮の中で赤ちゃんがきゅうくつになってきて、赤ちゃんが動く度に子宮が押され張りのような感覚を伴うことも増えてきます。

そのほか、大きくなった子宮に圧迫された腸や子宮を支える靭帯が痛みを感じて、これをお腹の張りと受け止める人もいます。

お腹が張った時には、しばらく体を横にして休みます。体を休めておさまれば、それは心配いらない張りです。

ただし強い張りが長く続く場合は、お母さんの体または赤ちゃんに何らかの異常が起こっている可能性が考えられます。張りが続く場合はすぐに受診しましょう。

妊娠32週目のおっぱい

32週頃になると、乳腺や乳房の脂肪が増大してバストが大きくなります。さらに乳首からは母乳のような液体が出ることがあるので「まだ赤ちゃんを産んでいないのに?」と、ビックリしてしまう人もいるかもしれません。

この液体は発達した乳腺から分泌されるようになる液体で、授乳に向けて体が順調に準備を進めている証拠なので妊娠中に分泌されても心配はいりません。

液体は、白い母乳というより黄色くてねばねばしているのが特徴です。赤ちゃんが飲む母乳と成分の構成は異なっており、栄養はほとんど含まれていません。出産すると、赤ちゃんの体の必要な栄養を含んだ母乳がたくさん分泌されるようになっています。

妊娠32週目のおりもの

妊娠するとホルモンのバランスが変化して、誰でもおりものが増えます。特に32週頃からは、子宮頸管からの分泌物が増え、おりものの量も増えていくようになります。

妊娠後期のおりものは、粘り気がありクリーム色をしているのが特徴です。まだ分娩が近づいていないのにおりものに血液が混ざったり、羊水のような生臭くて水っぽい液体が出るのは、正常なおりものではありません。すぐ受診が必要です。

期待と不安がいっぱい!これから出産予定日までに起こること

正産期に入る37週までおよそ1ヶ月となりました。母子とも出産予定日に向けて準備期間に入っていきます。これからどのような変化が待っているのでしょうか?

これから出産予定日までの赤ちゃんの成長

32週にはほとんどの機能が成熟し、肺呼吸もできるようになっているので、もし早産で生まれても胎外の環境に順応することが可能になります。

ただ32週では体も少し小さく、成長もまだ完全には止まっていないので、できればお腹の中で体重が2,500gを超えるまで成長し、免疫機能や網膜の血管が発達してから生まれたほうが良いに越したことはありません。

32週を超えると赤ちゃんにはさらに皮下脂肪つき、体重がどんどん増えていきます。もう体の向きをごろごろと変えることはできませんが、力が強くなるので赤ちゃんがお母さんにパンチやキックをお見舞いしてしまうような場面も増えてきます。

そして36週目(妊娠10ヶ月)に入る頃には体重が2,500gを超えるようになり、体の機能が成熟します。もういつ生まれても大丈夫です。

赤ちゃんは頭を骨盤に押し付け、子宮内がきゅうくつなのであまり動かなくなりますが、羊水が少なくなり子宮の壁も伸びて薄くなっているので、お腹の上から赤ちゃんのひじやひざの感触がわかるようになります。

また分娩日の2~4週間前になると赤ちゃんの頭が下がり、胎動は少なくなります。

これから出産予定日までのお母さんの体の変化

羊水の量は32週にピークとなり、その後は徐々に減少していきます。最終的に羊水の量は32週のおよそ半分の400mlまで減少し赤ちゃんが子宮に密着するので、お腹の上からは赤ちゃんの力強い胎動が痛いほどに感じられるようになります。

新陳代謝が高まり、暑がったり汗をかきやすくなるほか、皮膚のトラブルが出ることもあります。また、お腹がかなり大きくなるため、腰痛、便秘、痔など妊婦特有のトラブルにも悩まされやすくなります。

分娩日が近づくと、赤ちゃんが産道をスムーズに降りていく準備として、恥骨の結合部が緩み始めます。そのため、人によっては骨盤に痛みを感じる場合があります。

36週を過ぎると子宮と赤ちゃんの頭が下がるので、妊娠後期にみられやすい胃もたれや吐き気が消え、急に食欲旺盛になってくる人が少なくありません。

35週までは2週間に1回だった妊婦検診も36週からは1週間に1回に増えます。赤ちゃんの頭の下がり具合、子宮口の開き具合から、医師が「もうそろそろかも」「まだまだ」といったアドバイスをくれるかもしれません。

色のついたおりもの、生理のような鮮血が少量出たら「おしるし」の可能性が高くなります。さらに生理痛のような腹痛が始まったら、陣痛が起きていると考えられるので、入院準備をして、かかりつけの産科・産院に連絡して指示を仰いでください。

兆候があればすぐ受診を!32週目に起こりやすいトラブル

32週頃、特に注意したいのは、逆子、早産、妊娠高血圧症候群です。出産や母子の健康に影響を及ぼすものなので、どのようなトラブルかチェックしておきましょう。

32週目に起こりやすいトラブル:逆子

妊娠28週までは逆子(さかご)の赤ちゃんが多いのですが、28週以降になると自然と頭位に固定し最終的には95%が頭位で生まれます。しかし、この時期にはまた向きを変え最終的に逆子になる場合があります。

もしも自然分娩の時に赤ちゃんが足から出てくると引っかかって難産になり、母子ともに危険です。36週に入ると逆子が治りにくくなるので、32週頃のうちに治しておくのが一番です。

赤ちゃんが逆子の場合は、医師の指示に従って「逆子体操」を行ない、逆子の赤ちゃんをぐるんと回転させて頭位に治す方法が取られることもあります。逆子体操のポーズが妊婦さんの負担になる場合は、逆子のまま帝王切開で分娩します。

逆子は胎盤や子宮の形も関係しており、防ぐことは難しいようです。妊娠後期の逆子については、担当医とよく相談して対処法を選択するようにしましょう。

32週目に起こりやすいトラブル:早産

32週で出産すると早産にあたります。多くのお母さんが気にするのは、早産による赤ちゃんの
障害や後遺症の問題かと思います。赤ちゃんが32週で生まれた場合のお話をしておきましょう。まずは次の表をご覧ください。体重、在胎週数によって次のような分類があります。

【出生体重からの定義】

名称 体重
正出生体重児 2,500~4,000g
低出生体重児 2,500g未満
極低出生体重児 1,500g未満
超低出生体重児 1,000g未満

【出産週数からの定義】

在胎週37~42週未満で出生 正期産児
在胎週37週未満で出生 早産児
(34~37週未満で出生した場合は後期早産児)

参照…低出生体重児保健指導マニュアル「出生時の分類」

早産は全妊娠のおよそ5%の確率で起こっています。

1,000~2,500gで生まれることになってしまっても、医療の進歩によりほぼ100%の赤ちゃんは無事に生まれることができています。

また32週と早く生まれてしまっても、必要に応じて保育器やNICU(新生児集中治療室)で養育され、ほとんどの赤ちゃんが普通の子どもと同じように成長することができます。

正期産児よりは小柄ですが、1,500~2,500gで生まれた赤ちゃんの場合だと、1歳児までには正期産児の発達に追い付くことができています。

32週はまだ体の発達途中なので、生まれてからの運動機能や知能の成長はややゆっくりになる傾向もみられます。

例えば体重が1,000~1,500gで生まれた赤ちゃんは一人座り、つかまり歩き、つたい歩きのできるようになる暦月齢(早産で生まれた日から数えた月齢)では正期産児より1.5~2ヶ月遅くなる傾向があります。

ただし修正月齢(もとの出産予定日)で数えると、正期産児とはほぼ変わらない程度なので、成長のペースはそれぞれ赤ちゃんによって個性があると受け止め見守っていくと良いでしょう。

もしもかなり未熟な状態で生まれたり、そのために新生児期に合併症を起こしてしまったりすると、障害のリスクが高くなります。

例えば、体重が1,000g未満で生まれる「超低出生体重児」に起こりやすい重篤な障害には

  • 視力障害
  • 精神発達の遅滞
  • 脳性まひ

などがあります。

…ただし、早産児、低出生体重児の発達や障害のレベルは、一人一人の赤ちゃんによって事情が異なるので、一概に「安全」「危険」と特定することもできません。

一般には、小さく生まれたり、在胎週数が長くてもその割に成長が追い付いていない状態で生まれるほど、発達障害や合併症のリスクが高くなると言われているので、お母さんはなるべくお腹の中で赤ちゃんが大きく育つよう、体調管理を心がけるのが一番です。

早産はどのような原因で起こるのかチェックしておきましょう。

早産の原因 特徴
妊娠高血圧症候群 高血圧、たんぱく尿を伴うこともある
前期破水 妊娠36週以前に破水してしまう
胎盤位置異常 胎盤の位置が異常
常位胎盤早期剥離 胎盤がはがれてしまう
羊水過多(過小)症 羊水の量が多過ぎる、または少なすぎる
子宮頚管無力症 子宮頸管が開いてしまう
子宮内感染 胎児に何らかのウイルスが感染する
持病 心臓病、腎臓病など妊娠に負担のかかる持病がある
胎児に問題がある 先天的な異常、多胎の負担など

早産を予防するには、必ず妊婦検診を毎回受けるようにし、早産の兆候を早めに見つけて対処することが必要です。

32週目に起こりやすいトラブル:切迫早産

32週で注意したいのが「切迫早産」です。切迫早産は、早産が起こりそうになっている状態のことです。この時、お母さんの体には次のような現象が起こっています。

  • 頻繁に子宮収縮が起こる
  • 子宮口が開きかかる
  • 羊水が漏れる

切迫早産の兆候が見られたら、すぐに適切な処置をして切迫早産を阻止しなければなりません。次のような症状があればすぐ受診しましょう。

  • 腰がだるい
  • 出血する
  • 頻繁にお腹が張る
  • 定期的に腹痛が起こる

32週頃は生理的な子宮収縮も多いので、切迫早産による危険な張りを見過ごさないように注意する必要があります。

1時間に5回以上強い張りを感じたり、横になって休んでも張りがおさまらない場合は、すぐ受診しましょう。子宮が強く収縮しているので切迫早産を引き起こしているか、もしくは子宮収縮を放置していると陣痛を呼ぶ可能性が出てくるためです。

切迫早産の治療には、子宮口が開くのを防ぐ子宮収縮抑制剤、膣内感染を防ぐ抗生剤が用いられます。すでに子宮口が開いている場合、破水している場合には入院治療が必要です。

また、体質によって子宮頸管が開きやすい人は「子宮頸管無力症」によって子宮口が開き早産を引き起こしやすいので、切迫早産を起こしたら子宮頸管をしばる手術をすることもあります。

32週目に起こりやすいトラブル:妊娠高血圧症候群

妊娠中期からは血圧が上昇しやすいのですが、何らかの理由で高血圧が続くと、お母さんや赤ちゃんの健康に悪影響を及ぼす可能性が出てきます。

この状態を「妊娠高血圧症候群(PIH)」といい、特に32週頃から起こりやすくなります。

日本産科婦人科学会では、妊娠高血圧症候群を次のように定義しています。

妊娠20週以降、分娩後12週まで高血圧がみられる場合、または、高血圧に蛋白尿を伴う場合のいずれかで、かつこれらの症状が単なる妊娠の偶発合併症によるものでないもの

妊婦さんは、血圧は収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上、尿は1日当たり尿中にたんぱくが0.3g以上出ると、妊娠高血圧症候群と診断されます。

妊娠高血圧症候群が良くない理由は、血管が傷ついて胎盤の血行が悪くなり、赤ちゃんの発育が悪くなったりお母さんに血管障害が起こりやすくなってしまうためです。次に挙げる合併症も起こりやすくなります。

合併症 特徴
子癇 脳がむくみ、頭痛・けいれん・意識障害を起こす
常位胎盤早期剥離 胎盤がはがれ、30~50%の赤ちゃんが死亡する
脳血管障害 脳の血管が傷つき、脳出血が起こる
HELLP症候群 赤血球が壊れ臓器の機能が低下する
肺水腫 肺に水が溜まる

中にはお母さんや赤ちゃんが命を落としたり、赤ちゃんに重篤な障害を引き起こす合併症もあるため、特に高血圧やたんぱく尿が強い場合は注意が必要です。

妊娠高血圧症候群になったら入院して安静に過ごし、お母さんの体に負担がかからないようにします。

妊娠高血圧症候群の起こる原因は、妊娠初期の胎盤ができあがる時に胎盤とつながれる血管にトラブルが生じるためといわれていますが、血管にトラブルが生じる理由ははっきり分かっていません。妊娠で起こるため、出産すると症状は軽減します。

発症しても重症化するまでは自覚症状のないことが多く、また発症を完全に予防することも難しい病気です。

ただ、40歳以上の高齢出産、肥満、高血圧の人に起こりやすいことが分かっているので、該当する妊婦さんは定期検診を受けて体調管理や必要な治療をきちんと行い、血圧や尿に異常が出ないように努めましょう。

以前は「妊娠中毒症」と呼ばれていたものです。2005年に名称と定義がが変わりました。

マタニティライフもあとわずか!日常生活で気を付けたいことは

マタニティライフもあとわずかです。母子とも健やかに過ごせるようには、32週目でどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。

気になることがあれば妊婦検診を待たずに受診する

妊娠全期に共通して言えることですが、気になる症状があれば次の妊婦検診まで待たずに受診して、何か問題が起こっていないか早めに確認しましょう。32週頃はお腹の張りに注意します。

食事は小分けして

胃が子宮に圧迫されて胃腸症状が出やすくなるので、食事の回数を増やして1回に少量ずつ食事をとるようにします。

便秘を予防する

32週頃になると便秘がひどくなりやすいので、意識して食物繊維と水分をしっかりとり、スムーズなお通じを心がけます。

食物繊維は、豆類、いも類、きのこ、根菜類に豊富に含まれています。カルシウム補給を兼ねてヨーグルトを毎日摂取すると便秘の改善に役立ちます。

この時期は大きなおなかに圧迫されて肛門の血行が悪くなっており、便秘でいきむと痔になりやすいのです。妊娠して痔になった女性も少なくありません。

痔の予防のためにも便秘を予防し、痔の症状が辛い時は1人で悩まずに担当医か肛門科に相談することをおすすめします。産後には育児で忙しく、痔の治療どころではなくなるので、悪化する前に治しておくほうが楽です。
 

こむら返りを防ぐ

夜中に急にこむら返りが起こると、激痛にビックリして飛び起きることになります。こむら返りに困っている人は、足の血行を促進させるためにマッサージをするのがおすすめです。

入浴後に脚にボディクリームなどを塗ってふくらはぎを中心に下から上に向かってマッサージします。脚のむくみも解消できます。バストケアや妊娠線予防と一緒に脚もお手入れすると良いでしょう。

ミネラルが不足している可能性も考えられます。ミネラル不足を防ぐには、献立になるべく種類の多い品目を取り入れ、自然と幅広い栄養素が摂取できる食生活を心がけることをおすすめします。

特にレバー、卵、緑黄色野菜、豆類、海藻類、きのこ類はビタミンとミネラルが豊富です。好き嫌いの多い人も、産後には良いおっぱいを出すために栄養がたくさん必要になることを頭に置いて、苦手な食品も食べるように頑張ってみましょう。

転倒に注意

32週頃になるとお腹がせり出してくるので、歩行時は転倒に注意が必要です。足元は段差に気を付け、滑りにくく歩きやすい靴を履きましょう。

ストレスを溜めない

妊娠中は幸せな期間でもありますがストレスも多くなります。ストレスが強くなるとお腹が張って胎盤へ送られる血流が減り、赤ちゃんに影響を及ぼすことがあるので、深呼吸を増やし、なるべくリラックスしながら過ごすようにしましょう。

妊娠後期に高まるリスクを回避して楽しいマタニティライフを

妊娠32週目といえば、もうすっかりマタニティライフも身についた時期ですよね。これからは、赤ちゃんがやって来る日が近いことを感じながら、出産準備をしたり名前を考えたりとワクワクするイベントも増えて楽しくなります。

一方で妊娠後期ならではのリスクも少し高くなってしまう時期なので、無理をせず健康管理に気をつけて過ごしていただきたいと思います。

妊婦の皆さんにとって、妊娠9か月目も素敵な毎日になることを心からお祈りしています!
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