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双極性障害、躁うつ病チェック!症状と原因を知って完治を目指す

特に3次元の世界では、何かにつけて対極という概念が日常化しています。たとえば表と裏、上と下、前と後、+(陽)と-(陰)・・・という具合に、挙げればキリがありません。ごく身近に誰もが目にしている「対(つい)のことがら」ですよね。

ただ意外にも、というか、こちらもよく知られることかもしれませんが、人間の性格にも対になる対象があります。性格である以上、それは個性ですから、何か問題があるとしても、多くはごく身近で小さな社会における問題にとどまります。

ところが「対のことがら」が健康を損なう対象であったとすると、これは大きな問題であるといわなければなりません。実は、対極をなすことが健康面への大きな問題の発端となりうる病気があるのです。

原因も多様であり、発症のメカニズムも明確には解明されておらず、したがって治療にも困難をきたすことが多く、さらには上で挙げた「性格」との見極めが非常に難しい病気であるとされます。それは「双極性障害」と呼ばれる病気です。

双極性障害は、かつて「躁うつ病(そううつびょう)」と呼ばれたこともありましたが、今回はこの双極性障害について見ていきましょう。

双極性障害には種類があって症状も異なる

気分障害(いわゆる精神(性)疾患)に分類される病気は、患者さんの精神状態という目に見えづらい症状を主に頼って診断し、治療しますので、その分類自体が非常に煩雑です。たとえば有名なところでは「うつ病」があります。

しかしそもそも「うつ」ということば自体は、もともとは病名ではありませんでした。人の精神状態で「うつ」の用語を用いる際には、本来は気分がふさぎこんでいるというその人の「精神状態」を指すにすぎません。

ところが、正常にくらべてうつの状態が継続する傾向が見られる人が少なくなく、そうした人々が「うつ病」という病気であると考えられるようになりました。現在では、うつ病という病名を「うつ」と表現することがあります。

このようにして、「うつ」と「うつ病」という用語自体がかなりあやふやであり、そこにきて「躁病(そうびょう)」だとか「躁うつ病」などという新たな用語が登場するしたために、かなりこの系統の疾患が煩雑になってしまったという背景があります。

そこで、まずは気分障害を大きなくくりで分類してみることにしましょう。

気分障害を分類すると・・・

躁うつ病(双極性障害)というと、なんとなくうつ病の一種のように思われがちですが、むしろうつ病が躁うつ病の一種であるとされたり、もしくは両者がまったく異なるものであるとするケースもあります。

このあたりの判断は、お医者さんの立場であってもなかなか難しいところがあるようですが、一般的に行われる分類を用いて、一度うつ病と双極性障害をそれぞれ分類してみることにしましょう。以下の図をご覧ください。

うつ病の分類と特徴

見るからに相当ややこしい感じがしますよね。ただ、図からわかるように、双極性障害とうつ病(うつ病性障害)とは、気分障害を分類する上ではじめに分岐するまったく別系統の病気であることはお分かりいただけるかと思います。

特に双極性障害でいえば、「躁うつ病(双極性)」と「気分循環症」とに大別されることになります。ただ、この両者の診断基準にも、お医者さんによる、患者さんのその日の状態によるなど、少々あいまいなところがあるといわれています。

そういったあいまいさも含め、双極性障害は少しイメージしづらく、ややつかみどころのない疾患であるといえるかもしれません。今度は、もう少しヴィジュアルに双極性障害をとらえてみます。以下の図です。

双極性障害の状態イメージ図

双極性障害の説明は、昔から高校時代に習った三角関数のグラフのような図を用いて行われてきましたが、上の図もまさにそのタイプの図です。ただ、双極性障害を説明するとなると、このパターンが一番理解しやすいと思います。

要するに、横棒がふつうの精神状態であり、気分がふつうよりも高揚(いわゆる「アゲアゲ」な気分)しているときが躁状態であり、逆に気分が落ち込んでいる(いわゆる「ブルー」な気分)ときがうつ状態です。

すなわち双極性障害とは、上記のように、アゲアゲ感とブルーな気持ちが繰り返し起こる気分障害と定義されることになります。ただし、双極性障害はひとことで定義できるほど単純な疾患ではありません。

双極性障害やうつ病の傾向をしっかり見極めることが大切です。

ちゃんと見極めて!双極性障害やうつ病に見られる傾向がある!

双極性障害のイメージ画像

気分の浮き沈みがあったとしても、そのすべてが病気ではありません。高揚感とブルーな気持ちを感じるのは、ふつうに生活していて当たり前に起こることだからです。つまり、気持ちの浮き沈みは、私たちにとって病気とまったく無関係に起こるのです。

ですから、なんでもかんでもが双極性障害に当たるわけではありません。最近よく「私はうつ病かもしれない・・・」といった声を聞きます。もちろん、そういう自覚がある人がほんとうにうつ病のケースもあります。

ただ、実際のところ、幸いうつ病ではなかったケースのほうが多いくらいです。そうした現状を踏まえて重要なことは、心配だったらすぐにお医者さんに行って検査なり診察なりを受けていただくことです。

そして、気にするほどでもないならむしろまったく気にせず、前を向いて元気に日々を過ごしたほうがよいということです。ただ、ある程度双極性障害、もしくはうつ病特有の傾向もありますので、ご紹介します。

双極性障害・うつ病(※)に見られる傾向

  1. 気分の浮き沈み(躁うつ転換)の度合いがいちじるしく大きい
  2. 躁うつ転換の頻度が著しく高い
  3. 長いうつ状態から躁うつ転換がはじまる
  4. 躁うつの一方の状態だけ(特にうつ状態)が著しく長い
  5. 根拠やきっかけがなく突然躁またはうつ状態になる、もしくは躁うつ転換が起こる
  6. ※うつ病の傾向に関しては、1で「気分下降の度合い」と置き換えてください。

1について少し説明を加えます。「気分の浮き沈み」は誰にでもある自然なことだというお話をしましたが、双極性障害やうつ病の場合、誰にでもある自然なことと説明できないレベルでの浮き沈みが起こります。

たとえば躁状態であれば、単に明るい、元気というだけではなく、正常と判断できない言動が見られることがあります。そして、うつ状態であれば、絶望感、失望感、自殺願望、自殺企図(きと)欲求などが沸き起こります。

ちなみに、自殺願望とは「自殺したいという漠然とした願望」であり、自殺企図欲求とは「具体的に自殺の方法をイメージして、それを実行に移したい欲求」と説明されます。両者は微妙にニュアンスが異なるんですね。

ですから上でご紹介した三角関数のような図はあくまでもイメージであって、実際はもっとグラフの上下振動が激しくなったり、先が上にとがったような急カーブを描いたりするのが双極性障害であるとお考えください。

では、ここからはこれまでのお話をもう少し具体化していきたいと思います。

双極性障害にはどんな症状が見られる?

かつての大作家や音楽家、一部芸能人などが「天才」と呼ばれることがありましたが、実は彼らの中には双極性障害を持っていたとされる人もいます。もちろんこれはあくまでも疾患の傾向から後付けされた部分もあります。

ただ、双極性障害の場合、特に躁状態において「従来ではありえない積極性」が見られることがあり、それが天才的な作品や表現につながったと推測されています。しかし実は、これも双極性障害の症状のひとつなのです。

それでは、双極性障害の具体的な症状について見ていくことにしましょう。

双極性障害の具体的な症状とは?

天才的などという表現をしてしまいましたが、このような言い方をすると、双極性障害が一見メリットのように感じられるかもしれませんね。誤解がないよう、ここからは双極性障害の具体的な症状を改めて検証していきたいと思います。

双極性障害に見られる典型的な症状を、以下にまとめます。

躁状態における双極性障害の症状

  • 次々とアイディアが湧く(従来ではありえない積極性)
  • 積極性が強すぎて集中が散漫になる
  • 異常に自分が偉くなったように感じる
  • 異常なほどお金をつかう
  • 異常な性衝動に駆られる、もしくは行動を起こす

人間であれば多少なりとも上記のような感覚を抱くことはあるはずですが、問題は、「異常に(なほど)」という部分です。自分だけでなく、家族や他者に対して多大な被害をもたらしてしまうこともあり得ます。

上記のような症状でも、「異常」の度合いが異なることがあります。加療は必要だけれども、入院して集中的な治療が必要な場合もあります。入院を必要としない程度の躁状態を、一般に「軽躁(けいそう)状態」と呼びます。

軽躁というと、入院加療を要しないことからも、「なんだ、軽い躁状態か・・・」と思われがちですが、そうではありません。完全に人格が変わってしまうレベルの躁状態を、軽躁状態と呼びます。

つまり、多少の高揚感があるくらいでは、軽躁状態でもなんでもないということがお分かりいただけると思います。躁状態を伴う双極性障害を「双極Ⅰ型障害(いわゆる躁うつ病)」、軽躁状態とうつ状態を伴う症状を「双極Ⅱ型障害」と呼びます。

ただ、特に双極Ⅱ型障害に関しては、冒頭でも触れた通り、その人の性格ともかかわってくるため、診断がやや難しく、少々あいまいな部分もあるといわなければなりません。このあたりが双極性障害の難しいところでもあります。

一番上でご紹介したトーナメント表のような樹形図で定義した用語と少々異なる部分もありますので、双極性障害を以下の表にまとめおきましょう。

双極性障害の分類 それぞれの症状 うつ状態の程度
双極Ⅰ型障害 躁状態を伴う双極性障害 一般的なうつ病と同等だが、躁状態よりもうつ状態がメインの傾向
双極Ⅱ型障害 軽躁状態とうつ状態を交互に繰り返す双極性障害 比較的軽いか正常な状態だが、躁うつ転換が激しいと躁うつどちらがメインかは一概にいえない

上記に「一般的なうつ病」とありますが、うつ病についてはこれまでほとんどお話していませんので、「一般的なうつ病の症状」についても少しお話しておくことにします。

一般的なうつ病にはどんな症状がある?

それでは、一般的なうつ病(うつ状態)がどのような症状であるかというところについても、簡単に説明しておきます。以下をご覧ください。

こころの状態
  • 気分がうっとうしくなる
  • 何事にも興味が持てなくなる
  • 何も楽しいと思えなくなる(これまで好きだった趣味などにも興味が持てなくなる)
  • 身体の調子が悪く疲れやすくなる
  • 頭が働かない
  • (上記の経過を踏まえる部分もあり)自分を責めるようになる
  • やがて死にたくなる
身体に現れる症状
  • 不眠/過眠
  • 食欲不振/過度な食欲
  • 動作緩慢/じっとしていられない

うつ状態では、身体の症状が対の症状として現れることがある。

参考…うつ状態-加藤忠史・公益社団法人日本精神神経学会

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うつ病とは違う双極性障害の症状とは?向き合いコントロールする方法

双極性障害に有効な治療・対処はあるの?

上記の症状をすべて、もしくは一部理解していただけたことと思いますが、双極性障害はなかなか厄介な疾患であるというのが率直なところかと思います。そうはいっても、治療法・対処法がないわけではもちろんありません。

実際これだけ複雑な病気でも、見事に完治、克服された患者さんはたくさんいらっしゃいます。特に、うつ病にくらべれば躁病のほうが治りやすいとされることが多いですから、その分治療はしやすいかもしれません。

それでは、完治・克服を目指し、ここからは双極性障害の治療法・対処法についてお話していきます。

双極性障害は治療可能!しかし問題点もある

双極性障害の有効な治療法は、やはり通院もしくは入院による投薬治療、カウンセリングが定番といえます。しかも、治療のスタートが早期であればあるほど、その回復率が高まり、また、回復までの時間も短くなります。

このあたりは、いろいろある病気と共通する部分です。双極性障害で使用される薬には、リチウムやラモトリギンと呼ばれる薬があり、すでにその有効性は証明されています。もちろん実用化もされています。

投薬治療が特に有効なのは、双極Ⅰ型障害のほうです。Ⅱ型のほうは、Ⅰ型に近い病態のときには投薬治療が重視されることもありますが、たいていはカウンセリングのほうを重視します。このあたりは患者さん個々の状態から判断します。

こうお話をすると、あれ、双極性障害ってそんなに面倒な病気ではないんじゃないの?と思うかもしれませんが、そうではありません。早期に治療を始めることができればよいのですが、そうもいかないケースがあるからです。

どういうことかというと、双極性障害で特に躁状態が顕著な患者さんは、自分は健康であると思いこむ傾向が強いからです。ましてやはじめて発症した患者さんはその傾向が顕著になることもあります。

場合によっては、治療するよう説得しようとしたご家族に対して暴力を振るうような事態もありえますので、早く治療してほしくても、なかなかそうならない事例も少なくありません。結果的に、症状を悪化させることになります。

この点が、双極性障害の早期治療を目指す上で大きな障害となりうるのです。これが双極性障害治療の問題点の1つに挙げられます。ただ、多くは「過度の睡眠不足」の状況に置かれますので、体調不良が理由で通院をはじめる患者さんもいます。

とはいえ、体調不良になるのを待ちましょうというわけにはいかないので、やはり睡眠不足を自覚させ、これが治療のきっかけになるように働きかけることが、ご家族にとっては重要な手がかりになってくるといえるでしょう。

回復への手がかりを見逃さないで!

双極性障害の場合、正しく対処することによって、正常に回復する可能性が高まります。しかし正しく対処するためには、ここでこれまで、そしてこれからお話する内容をある程度理解していなければなりません。

精神神経医学に通じていない一般人にとって、これはなかなか難しいことであるといわなければなりません。双極性障害の正しい対処は、上記でお話した「通院もしくは入院による投薬治療およびカウンセリング」です。

これ自体は簡単なことのように思われるかもしれませんが、双極性障害の患者さんの場合、「自分の考えがすべて正しい」と思いこみがちであるがゆえに、たとえご家族の指摘やアドバイスであっても、その意見が正しくないと感じられてしまいます。

自分がなんとなく「そうかな・・・」と感じていたことでも、ご家族から改めて指摘されると急に翻意し、「それは正しくない!」と断じてしまうことさえ起こりえます。見た目上は、ご家族の努力が逆効果に見えてしまうこともあるのです。

うつ病患者さんの場合、どちらかといえば強い依存心が芽生えますので、むしろご家族の意見は素直に受け入れる(ただし、意見に従って結果が思わしくないと激しい責任転嫁が起こるリスクは高い)ことのほうが多いです。

しかし双極性障害では、うつ病患者さんよりも病気を受け入れさせることが難しく感じられるかもしれません。ですから、双極性障害で最も重要ばことは、正しく対処するために、まずは病気を受け入れさせることです。

もっと理想を言えば、ごく初期の段階で患者さん自身が自覚し、「もしかしたら双極性障害なのかもしれない・・・」と気づいて自ら進んで治療していただくことです。その可能性は高くありませんが、不可能ではありません。

双極性障害をセルフチェックで診断しよう!

もしご自身で双極性障害の疑いがあると感じられるのであれば、正しく対処できる可能性が高まるわけですから、それだけ順調な回復を期待することができます。ただ、そのためにはある程度の知識が必要になることも事実です。

健康な人が双極性障害について学習する機会などふつうありません。ただ、双極性障害のセルフチェックにより簡易的な自己診断を施すことは可能です。チェックをしてみて、万一該当する部分が多ければ、一度病院に行ってみてもよいかもしれませんね。

以下がチェック項目になりますので、少し心当たりがある、あるいは興味があるという人は、一度チェックしてみてください。

  • 過去に経験がないくらい気分爽快、元気があふれる。やる気に満ちあふれ、勉強、仕事が異常にうまくいく
  • 最近眠らずとも眠気に襲われない
  • 他人の意見が耳に入らない、あるいは、入ったとしても自分がそれを上回る意見を出し、積極的に発言する
  • どんどん新しいアイディアが浮かぶ
  • 過去にないくらいお金をつかう、借金をすることに抵抗がない
  • 些細なことに腹を立てる、イライラする、目上の人に対して口げんかを自分から仕掛ける

上記のうちいくつ〇がついたという問題では、実はありません。再三お話しているように、誰もが多少なりともそういう側面を持っているからです。ある日突然そういう気持ちが起こっても、翌日治まれば気にする必要はありません。

問題は、万一どこかに〇がついた場合、その度合いやそれが継続しているかどうかのほうです。〇がついて心配な人は、一度病院で相談してみてください。意外とこういうチェックが治療の手がかりになったりするものです。

原因を知りたい!どうして双極性障害になってしまうの?

自分を探す男性のイラスト

双極性障害は、現時点ではその発症原因や発症のメカニズムが明確になっていません。ただ、いくつかの危険因子があることは確かなので、ここでは双極性障害が起こりうるファクターを検証してみます。

遺伝子が双極性障害の危険因子になっている場合がある

双極性障害を発症した人すべてがそうだとは言いませんが、遺伝子の影響で発症すると考えられる患者さんがいることは事実です。遺伝子の専門的な話をするとあまりにも難しくなってしまうので、遺伝子と病気の関係を簡単に説明します。

もちろん何らかの病気にかかる人は、そこに何らかの原因(理由)があります。その原因のひとつが「遺伝子」に求められる可能性は意外と低くありません。この事実を初めて聞いたという人もいるかもしれませんね。

しかしおそらく多くの人がこのことを聞いた経験があるはずです。その際に「遺伝子」ということばが遣われていなかっただけです。よく、「かぜをひきやすい体質」とか「虚弱体質」などということばがつかわれます。

実は、これを「かぜをひきやすい遺伝子を持っている」とか「虚弱な身体になるような遺伝子を持っている」と言い換えることもできなくないのです。もちろん「遺伝子」と「体質」はまったくの同義ではありません。

ただ、体質ということばは「身体の性質」であり、「性質」とは、「生まれながらに持っている質・特徴」ですから、そう考えると、なんとなく「遺伝子」ということばのイメージに通じるところもあると気づくでしょう。

ですから、双極性障害を発症したその原因のひとつとして、非常につかみどころのない話に聞こえるかもしれないですが、「双極性障害を発症しやすい遺伝子を持っていた」ことが考えられるのです。

双極性障害の最大の発症原因は環境因子(後天的要因)

遺伝子が原因のひとつだとすると、双極性障害は先天性疾患であるとも考えられるはずです。ところが、双曲線障害が先天性疾患だなどという話は、少なくとも私は今まで一度もきいたことがありません。

考えられるその理由は、双極性障害が後天的な要因で発症する可能性のほうがより高いからでしょう。病気の後天的な要因を、一般的には「環境因子」とよびます。つまり、双極性障害は生活環境によって起こるリスクが変わるのです。

特によく言われるのが、過度なストレスを継続的に抱え込んでいる人は、双極性障害を発症しやすいということです。環境因子の中でも、「継続的な精神的負荷」が大きな危険因子となりえます。

今の時代、ストレス社会などと呼ばれますから、勉強や仕事、人間関係に悩む人が多いです。近年とみに精神性疾患の患者さんが増えたといわれますが、それも時代的背景が無関係ではないのかもしれませんね。

遺伝子や環境が脳の働きを誤らせる!

遺伝子や環境によって双極性障害が起こりますといっても、ああそうですか、とはならないでしょう。それでは遺伝子や環境因子がなぜ双極性障害を引き起こすのか・・・この部分が一番大切ですよね。

その一番肝心な部分のお話をしていきます。双極性障害は精神疾患とか神経系疾患などと呼ばれる病気ですから、基本的には脳の働きが正常に行われなくなったことが直接の原因になっているはずです。

その部分の詳細なメカニズムが明確になっていないのですが、考えられる脳の誤動作の原因は、遺伝子がそのようにさせていること、そしてストレスが脳の誤動作を招いていること、という2とおりが考えられます。

前者についてはかなり難しい専門的な話になってしまいますので割愛しますが、ストレスと脳の関係についてはお話しておきます。脳が正常に機能するかどうかポイントになるのが、神経伝達物質と呼ばれる一種のホルモンです。

過度なストレスが継続してかかってくると、神経伝達物質が正常に分泌されなくなることがわかっています。つまり、よくいわれる「ホルモンバランスの崩れ」が起こっていることになります。

女性特有のトラブルを例に出してたいへん申し訳ないのですが、わかりやすく説明するなら、いわゆるマタニティブルーはこれに似た症状です。あるいは生理前にいろいろ体調不良や精神不安定が起こったりするのも、ホルモンバランスの崩れが原因であることが多いです。

以上から、ホルモンバランスが崩れることによって脳の働きに異常が生じることが、双極性障害の原因であると考えられます。そして、その原因となるのが遺伝子であり環境因子でもあるのです。

双極性障害の最大の問題は何か

双極性障害という病気が最も大きな問題となるのは、場合によっては「死」を招くことです。それは病気である以上そういう最悪の事態だって考えうることではないか・・・とは確かにいえるかもしれません。

ただ、直接双極性障害が原因で死に至るケースには、「病死」とは認定されず、「自死(自殺)」と認定される事例もあります。自死の場合、いろいろな問題が生じます。説明をわかりやすくするために「お金」について考えます。

お金や法律が絡む問題からも目を逸らすわけにはいかない

たとえば、自死のケースでは生命保険の保険金が支払われない場合が多いです。もちろん双極性障害という「病気」の認定があ保険金が支払われることもありますが、問題は、双極性障害の判定が難しいことです。

つまり、双極性障害が認定されていない段階での自死では、保険金が支払われないことがあるのです。自殺企図により一命をとりとめたとしても、お金と法律の絡みで同様の事態を招くことが多いです。

お金の話で恐縮なのですが、双極性障害にはこういった難しさがあります。自分から死を選ぶ、自殺を企てることによって、お金と法律の問題は非常に難しい局面を迎えることも少なくないのです。

もちろんお金や法律の問題ばかりではありませんが、このように、双極性障害をはじめとする精神疾患による死、もしくは自殺企図行為は「特殊な死」、「特殊な行為」として扱われてしまうことにもなりかねません。

そうした観点からも、双極性障害をはじめとする精神疾患の最大の問題は、当事者や周辺者が好奇の目で見られなければならないところにあるのかもしれません。しかも、当事者も周辺者も社会も法律もお医者さんも、誰も責めることができません。

つまり、多くは「責任の所在がないトラブル」であること、「いわれのない扱いをされるかもしれないリスク」があること、これらが双極性障害などの精神疾患の、ほんとうに難しいところなのです。

サポートする人も共に歩んでほしい

どんな病気にも言えることかもしれませんが、双極性障害の場合特に、ご家族にかかってくる精神的負担がより大きくなることが多いです。これまでにもお話してきたように、双極性障害の場合、当事者の人格が変わってしまうことがご家族を苦しめます。

はじめから家族につらく当たる人であれば逆にダメージは大きくならないかもしれません。ただ、症状が現れる前は家族思いの優しい人だったのに、家族に対して暴言を吐いたりときには暴力を振るったりすると、ほんとうにつらいものです。

人格が異なる以上はもう別人であると割り切ってしまったほうが、ご家族にとっては精神的負担が小さくなるかもしれません。ただ、昔の優しさや健全な明るさを取り戻すためには、ご家族もその悲しみを乗り越える必要があります。

つまり、ご家族が共に歩むことが、双極性障害を完治・克服する大きな手がかりになるのです。悲しくなったり腹が立ったりすることもあると思います。しかしそれは患者さんの本心ではありません。

病気にとりつかれたまったく別の人間がさせていることなのだと解釈し、サポートする人がぜひ共に歩んでいただきたいと思います。ただしそれは、家族が我慢しなければならない、がんばらなければならないということを必ずしも意味しません。

ご親戚やご友人はもちろん、お医者さんや自治体などの公的な機関と密に相談し、アドバイスを受けることも大切です。そのあたりも含め、「共に歩む」ことになるのではないでしょうか。

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