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子供の風邪等に処方される抗生物質の種類!正しい飲み方で副作用なし

抗生物質と言えば、微生物由来の抗菌薬と言うことは皆さんよくご存知だとは思いますが、実は化学合成もできますし、定義そのものも少し変化しているんです。

現在では、「抗生物質とは微生物が作り、他の微生物や細胞の増殖や代謝機能を阻害する物質である。」と定義されています。もちろん、それを化学合成したものもOKです。

でも良く見ると、この定義ではウイルスにもがんにも、それどころか水虫にまで範囲が広がってしまいますよね。実際に抗ウイルス薬や抗がん薬、抗真菌薬を広義の抗生物質に含めることもあるんです。

とは言え実際には、昔ながらの細菌を殺す抗菌薬としての位置付けで呼ばれることがほとんどですので、今回も抗菌薬としての抗生物質についてお話しします。

抗生物質は非常に効き目の優れた抗菌薬で、小さな子供に用いられることも多いのですが、親御さんが素人判断で服用方法を変更されたりすると、思わぬ被害に見舞われることもありますから注意して下さいね。

処方通りに飲まないと抗生物質が危険になることもある

お医者さんに処方されたお薬は処方通りに飲むのが基本です。その中でも、抗生物質は特に処方された通りに飲むと言うことを徹底しないと危険性があるのです。詳しいことはのちほど説明しますが、今はまず「処方通りに飲む」ことを頭に入れて下さい。

素人判断で量や回数を減らしたり中断したりすると、治ったように見えた病気が再発するだけでなく、再発した病気にはもうお薬が効かなくなっていることすらあり得るのです。これを耐性と言いますが、これものちほど詳しくお話ししましょう。

抗生物質は処方通りに飲まないと耐性菌を生む

繰り返しますが、抗生物質を服用中に絶対にやってはいけないことは、「処方された通りにお薬を飲まないこと」です。何らかの理由で抗生物質が嫌な場合は、診察の段階でお医者さんにお話しして抗生物質を拒否して下さい。

出されたお薬を中途半端に飲むのが最も危険な行為です。1回2錠、1日3回毎食後、10日分のお薬として60錠処方されたら、確実に1日3回毎食後にきちんと2錠ずつ飲み、10日間は連続して飲んで下さい。

食欲がない場合には、チーズ1かけでも良いので食べて、とにかく3回飲んでください。心配な場合はお医者さんに食欲がない場合の服薬指導を受けて下さい。また、飲み忘れが絶対にないように、食卓や財布に必要なお薬を常備しておいて下さい。

また、1回2錠を指示されていたら、必ず2錠飲んでください。1錠だけ飲むとか回数を減らして飲むと言うのは最悪の選択です。飲みたくないのなら、最初から1錠も飲んではいけません。

抗生物質の濃度低下で危険性アップ

これは処方された通りに飲まないと、身体の中で抗生物質の濃度が下がってしまうからです。最初からゼロなら、細菌は抗生物質に出会わないので、耐性を身に付けることもありません。

しかし、濃度が下がった抗生物質に出会うと、一部の菌は死ぬものの、一部の菌は生き延びてその薬に対する耐性を付けることになります。もちろん100%耐性を付けるとは限りませんが、1回ぐらいなら大丈夫とも言えないのです。

もし、菌が耐性を付けてしまうと、症状が重くなったからと言って、お薬の量を増やしても全く効果が出なくなります。さらに、その菌がご家族に伝染して病気がうつった場合にも、同じ抗生物質が効かないと言うことにもなりますね。

こうしたお薬は、お医者さんも処方する順番についてのルールを持っておられます。その第一選択薬に対して耐性を持った菌に感染していた場合、治療に余計な時間がかかってしまいますし、重症化することもあります。

お医者さんも、菌が耐性を持っているかどうかまでは、通常の診察だけでは判断できません。処方したお薬が効かなかった場合に耐性菌を疑って、さらに踏み込んだ詳細な検査をしてはじめて判るのです。

お薬はできるだけ飲まない方が良いと言う意見もありますが、抗生物質については出された量をきちんと全部飲むことが、最少量のお薬ですむ確実な方法なんですよ。

子供に処方される抗生物質と対応する病気

抗菌剤としての抗生物質はウイルスに対して効果がありません。しかし、風邪などのウイルス感染症で免疫力が落ちていたり、炎症を起こして感染しやすくなっていたりした場合に細菌が感染することを防ぐため予防的に処方されることもあります。

政府レベルで、2016年から2020年にかけての「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」においても、抗生物質を含む抗微生物剤の濫用をいかに防ぐかが重点になっていますので、抗生物質の予防的投与はこれから減ってくる可能性が高いです。

溶連菌感染症は子供が良くかかる病気

溶連菌は「溶血性連鎖球菌」の略語で、今はレンサ球菌とカタカナ書きすることが多いようです。子供に良く見られるのがA群溶血性レンサ球菌咽頭炎で、急性咽頭炎と言う「のどの痛み」を中心に全身のだるさや発熱、頭痛などがあります。

いわゆる細菌性の風邪と言った印象の病気です。舌が真っ赤になる苺舌を伴うこともありますね。さらに溶連菌感染症の特殊な形態として、全身に発疹ができる病気、猩紅熱も含まれています。

猩紅熱と言うと20世紀終わりごろまでは法定伝染病でしたし、オルコット女史の名作「若草物語」の中では一つの重大イベントとしてストーリーを構成されていたことなどから重病イメージが強いかもしれません。

でも、抗生物質のおかげで、現在ではそんなに重い病気とはされていませんし、法定伝染病の指定も解除されています。

溶連菌はグラム陽性の球菌です。このグラムと言う言葉についても後で詳しくお話ししますが、今は陽性と陰性の2種類の菌がいると思っておいて下さい。

この菌に対して第一選択して選ばれるアモキシシリンを含め、下の表の上から3つが良く使われます。ペニシリン系の抗生物質にはアレルギーを持つ人もあるので、そうした場合は他の2つが処方されるでしょう。

また、こうしたお薬は症状が治まっても、後発する合併症を予防するため、10日間は飲み続けなければいけません。

除菌状態が思わしくない時は、その10日間程度の後に、アレルギーの状態を見て下の2つが継続して処方されることになるでしょう。

一般名 先行医薬品の
主な商品名
系統 ジェネリック
アモキシシリン サワシリン ペニシリン系 あり
エリスロマイシン エリスロマイシン マクロライド系
14員環
あり
セファレキシン ケフレックス
小児用シロップ
第一世代
セフェム系
あり
各種剤型あり
クリンダマイシン
塩酸塩
ダラシンカプセル リンコマイシン系 なし
アモキシシリン
・クラブラン酸
クラバモックス小児用
配合ドライシロップ
広域ペニシリン
合剤
なし

長く続く咳がつらい百日咳

百日咳は、最初は風邪の症状で始まる、グラム陰性桿菌の百日咳菌やパラ百日咳菌による気道感染症です。発症からだんだん咳は増えてきますが、2週間目ぐらいからは特徴的なはげしい咳の発作が続きます。

痙攣するような短い間隔の咳に続いて、息を吸い込む時に笛のような音がすることが特徴です。咳が出続けることで嘔吐してしまうこともあります。

治療には次のような抗生物質が使われます。

一般名 先行医薬品の
主な商品名
系統 ジェネリック
エリスロマイシン エリスロマイシン マクロライド系
14員環
あり
クラリスロマイシン クラリシッド・ドライシロップ
小児用など
マクロライド系
14員環
あり

だいたい5日くらいで菌はおさまってくるのですが、最低でも2週間は連続してお薬を飲まなくてはいけません。症状がなくなるとつい飲み忘れがちになりますが、そうすると再発の可能性が出てきます。

症状が軽いため昔は異型肺炎と呼ばれたマイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ肺炎は、頭痛と発熱、身体のだるさで始まり、数日後から乾いた咳が出始める病気です。さらに、熱が下がってからも、3~4週間の間咳は日を追うごとにひどくなりますし、若い人の場合、後期には痰が絡んでくることもあります。

病原菌は肺炎マイコプラズマです。マイコプラズマとは、細菌の中で最も小さいもので、一部の抗生物質に対しては、最初から耐性を持っています。

ですので、肺炎マイコプラズマが耐性を持っている、βラクタム系と総称されるセフェム系・ペニシリン系・カルバペネム系・モノバクタム系などの抗生物質は使えません。

処方されるのは次のようなお薬で、マクロライド系抗生物質が第一選択になります。

一般名 先行医薬品の
主な商品名
系統 ジェネリック
エリスロマイシン エリスロマイシン マクロライド系
14員環
あり
クラリスロマイシン クラリシッド・
ドライシロップ小児用など
マクロライド系
14員環
あり
ミノサイクリン ミノマイシン テトラサイクリン系 あり
トスフロキサシン
トシル酸塩
オゼックス
細粒小児用
ニューキノロン系
合成抗菌薬
あり

中耳炎の原因菌は複数あり耐性菌も多いので難しい

急性中耳炎の原因菌としては肺炎球菌とインフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは異なる病原体です)の2つが支配的になっています。しかしながら、この2種類の菌は抗生物質に耐性を持っていることが多いため、良く効くものを選ばないといけません。

概ね、飲み薬としては次のようなお薬が処方されるでしょう。

一般名 先行医薬品の
主な商品名
系統 ジェネリック
アモキシシリン サワシリン 広域ペニシリン系 あり
アモキシシリン
クラブラン酸
クラバモックス
小児用配合ドライシロップ
広域ペニシリン合剤 なし
セフジトレン
ピボキシル
メイアクトMS 第三世代セフェム系 あり
テビペネム
ピボキシル
オラペネム小児用細粒 カルバペネム系 なし
トスフロキサシン
トシル酸塩
オゼックス 合成抗菌薬 あり

細菌性肺炎では原因菌によって処方される抗生物質が大きく変わる

子供の肺炎は、大抵の場合風邪をこじらせたことが原因で発生します。ですので、細菌感染で肺炎にかかったと言っても、その原因菌が何であるかを特定しなくては投薬治療ができません。

例えば、肺炎球菌はグラム陽性の菌で、ペニシリン系の抗生物質が良く効いていました。しかし、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症による肺炎ではペニシリン系の抗生物質が効きません。

さらには、多剤耐性肺炎球菌と言って色々な種類の抗生物質が効かない肺炎球菌も現れています。こうしたものによる肺炎の場合は、入院して効くお薬を探すと言うことになるでしょう。

このような耐性菌の出現は、安易な抗生物質の多用と、医師の指示に従わずに服薬を中断したことなどによって起こっていると考えられています。詳しくはのちほどお話ししましょう。

クラミジア肺炎には種類がある

呼吸器症状が起こるクラミジア肺炎には3種類の原因菌があります。その中で、子供やお年寄りがかかりやすいのは肺炎クラミジアによるものです。

クラミジア・トラコマチスによる肺炎はほぼ乳児に限られますし、オウム病クラミジアによる病気はクラミジア肺炎とは少し様相が異なりますので、今回は肺炎クラミジアについて紹介します。

クラミジア肺炎は患者の咳などによって飛沫感染します。そして、肺炎症状の他、気管支炎や上気道炎、副鼻腔炎などの呼吸器症状があり、咳が続きます。咳は激しく、しかも長引くものですが、熱はそれほど高くなりません。

子供の場合は比較的軽症であることも少なくないのですが、風邪と見比べても特徴的な症状がないことが少し厄介ですね。

厄介と言えば、この病気の治療にもマイコプラズマ肺炎と同じく、βラクタム系と総称されるセフェム系・ペニシリン系・カルバペネム系・モノバクタム系などの抗生物質は使えませんので、次のようなお薬が処方されるでしょう。

一般名 先行医薬品の
主な商品名
系統 ジェネリック
ミノサイクリン ミノマイシン テトラサイクリン系 あり
塩酸
ドキシサイクリン
ビブラマイシン テトラサイクリン系 なし
クラリスロマイシン クラリシッド・ドライシロップ
小児用など
マクロライド系
14員環
あり
アジスロマイシン
水和物
ジスロマック マクロライド系
15員環
あり
風邪に似た症状を起こす細菌性の病気でも、結構いろいろありましたが、レアケースではさらに多くの病気があるんですよ。数えたらきりがないので、メジャーなところを紹介しました。

症状がおさまっても処方分は飲み切らないといけない理由

抗生物質は比較的副作用が少ない割に、大変良く効くお薬です。しかし、一方で菌の種類との関係で、初めから効く相手と効かない相手がいます。

さらにはこれまで効いていた抗生物質が効かなくなる、「耐性の獲得」と言う困った現象もあります。これは抗生物質が細菌をやっつける働きにその原因があるのです。

ですから、使い方を誤るとどんどん耐性を獲得した細菌が増えて、肝心の時に効くお薬がないと言う最悪の状態を引き起こしてしまうのです。

植物や細菌は相互に作用する化学物質を分泌する

ガーデニングがお好きな方ならご存知だと思いますが、アレロパシー(他感作用)と言う現象があります。相性の悪い植物を組み合わせて植えるとどちらかが枯れてしまったり、相性の良い植物を組み合わせて植えると良い影響を相互にもたらすと言ったものです。

これは植物が自分にとって都合の良い環境を作るために、根や葉から化学物質を分泌していることで起こっているのです。

このアレロパシー物質の中には「微生物が分泌して微生物に影響するもの」と言う存在があります。例えばアオカビと言う微生物が分泌してブドウ球菌の生育を阻害する物質もアレロパシー物質です。

そして、私たちはこれをペニシリンと言う抗生物質として利用しているのです。実際の現場ではこのように微生物が分泌した成分を模倣して化学合成していることもありますが、オリジナルは微生物由来なのです。

いわば生物同士の生存競争なのですが、私たちはそれを横から利用して細菌をやっつけていると言うわけです。

生物には慣れると言う力が備わっている

人間を含め、多細胞の高等生物では、免疫と言う働きで侵入してくる微生物をやっつけています。1度かかった病気には2回目にかかることが少なかったり軽く済んだりすると言う現象ですね。

免疫とメカニズムは異なりますが、微生物も自分にとって具合の悪い物質に慣れたり耐えたりすることができるような性質を獲得することがあります。

はじめてアオカビのペニシリンに曝されたブドウ球菌は、全滅してしまえばペニシリンと言う物質の情報を次の世代に伝えることはできません。

しかし、運よくペニシリンには曝されたけれど、その濃度が低かったため、細胞に負荷はかかったものの生き延びた菌がいたとします。この菌のうちのいくつかは、ペニシリンが次にやってきた時に耐えられるよう身体の分子構造の一部を変化させます。

次にペニシリンに出会った時、それが高濃度であれば変化の甲斐なくその菌は死んでしまいますが、変化のおかげで生き延びられた菌は、さらに強くなれるよう変化します。

そうして世代を重ねているうちに、ついにペニシリン自体には菌体が反応しないようなブドウ球菌が産まれます。これが耐性菌です。

耐性菌が増えると全人類が困ることになる

アオカビとブドウ球菌の例でお話ししましたが、こうした現象は全ての抗生物質と細菌の間で発生する可能性があります。特に多剤耐性細菌と言うやつは厄介です。たくさんの抗生物質に耐性を持っていると言うことはそれだけ効く薬が少ないと言うことです。

例えば「ナイトメア・バクテリア」(悪夢の細菌)と呼ばれるカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)や、「スーパーバグ」と呼ばれるコリスチン耐性大腸菌などが最も厄介な細菌ですね。これらにはほとんど効く薬がありません。

スーパーバグについては、最後の砦とまで言われた抗生物質であるコリスチンが効かないのです。効く薬がないと言うことは、抗生物質発見前の時代に私たちが引き戻されると言うことです。

ですので、耐性菌を生れさせないような抗生物質の使い方と言うことを、医療機関だけではなく、私たち一般人も意識しておかなくてはなりません。

症状が治まっても処方された量は飲みきらないといけない

大抵の場合、抗生物質を処方通りに飲んでいると、4~5日もあれば熱も下がるし症状もほとんどなくなります。しかし、それは細菌の量が減ることで、新たな症状が出にくくなっているだけのことが多いのです。

そこで抗生物質の服用を素人判断で中止してしまうと、生き残った細菌が濃度の下った抗生物質に出会うことで耐性を獲得してしまい、再び増殖を始めるのです。

4~5日で軽快することが予想される病気に対して、抗生物質が10日分~2週間分と多すぎるように見える量で処方されるのは、薬局や製薬会社を儲けさせるためではありません。

体内にいる病原菌を全滅させて、耐性菌が生まれないようにするためなのです。

症状はなくなっているのに、2週間もの長い間抗生物質を飲むのは嫌だと感じて中断してしまうと、耐性を持った菌が原因で病気がぶり返します。そうなったら、今度は別の抗生物質を使って1からやり直しと言うことになるのです。

抗生物質を患者から要求するのはやめよう

抗生物質に限らず、余計なお薬を飲むのはあまり気持ちのいいものではありません。お子さんの場合は、親御さんから見て、病気が治っているのに薬を続けさせるのは身体に悪いのではないかと言う不安も付きまといますよね。

でも、だからこそ抗生物質については処方通りに飲みきることが、実際には最も少ない量のお薬で済むと言うことを知っておいて下さい。

他の種類のお薬については、あらかじめお医者さんに「症状が消えたらお薬を止めても良いですか」と尋ねて服薬指導を受けて下さい。自己判断でお薬を中断すると言うのは、お薬の種類によっては非常に危険な状態を呼んでしまうこともあるのです。

年配の人で見られがちなのですが、「自分の身体のことは自分が一番よく判っている」と主張して、お薬を自己判断で中断したりする人がいます。自分の身体に対しては確かにその通りでしょう。

しかし、自分の身体の中にいる細菌が耐性を獲得して生き残るかどうかは判らないはずです。こと抗生物質についてはお医者さんの指示に従った方が安全で確実です。

逆に、風邪を引いたからと言って、お医者さんに抗生物質の処方を要求する人も結構多いと聞き及びます。しかし、これはやめて下さい。風邪の大半はウイルス性ですので、抗菌薬としての抗生物質は全く無効です。

炎症がひどく、そこから細菌による続発感染が懸念される場合に、抗生物質が予防的に投与される場合もありますが、最近ではそれも少なくなっているようです。

こうした流れも耐性菌が増えてしまったと言う反省に立っての行動です。お医者さんが必要ないと判断された場合には、抗生物質を飲まなくても充分治ると判断されたと言うことです。

この風邪は細菌性の上気道炎とお医者さんが診断されたら、最初から風邪に対して抗生物質が処方されます。ですので、お医者さんが処方されない場合に、患者の側から抗生物質を要求するのはやめておきましょう。

抗生物質もお薬である以上、副作用はつきものですが、効果の割に副作用は少ないと言えます。症状が消えてから飲み続けることに疑問が出るのは無理もありませんが、必要だから処方されているのですよ。

抗生物質には有効範囲が決まっている

さて、ここからは少し細かい話です。興味のない方は、お薬についての注意を覚えておいて頂いて、ここでおしまいです。興味のある方はもう少しだけお付き合いください。

まず、スペクトルと言う言葉があります。有名なのは分光スペクトルで、太陽光線はどんな色の光が入っているのかと言う幅を示す「虹」が代表と言えるでしょう。

一方、抗生物質には抗菌スペクトルと言う物があります。これはどんな細菌に対して効き目があるのかと言う幅を示す言葉です。

細菌はまず形で3分類される

抗菌スペクトルが狭い抗生物質では、ある特定の菌や、数種類の菌のグループにしか効かない物もありますが、それではあまり実用的とは言えません。

実際に良く使われているのは抗菌スペクトルが広くて、細菌を分類した時に、特定又は複数のグループに有効であるものを用いるようにしています。そうすることで原因菌が特定されていなくても有効なお薬を決めやすいからなんですね。

細菌はその形によって3種類に分類されます。丸っこい球菌、棒のような桿菌、らせん状のらせん菌です。

例えばヨーグルトでおなじみの乳酸菌を見てみると、ラクトバチルス属の細菌やビフィズス菌は桿菌ですし、丸が繋がった形のラクトコッカス属やフェーカリス菌でおなじみのエンテロコッカス属は球菌です。乳酸菌にらせん菌はありません。

一方、病原菌でもこの分類は当てはまります。大腸菌は代表的な桿菌ですし、黄色ブドウ球菌や溶連菌は球菌です。そして、コレラ菌やヘリコバクター、さらには梅毒トレポネーマなどはらせん菌です。

細菌は5種類に分類されそれに対応する抗生物質が使われる

こうした分類の他、細菌を顕微鏡で見る時の色素で染まるかどうかで分けることもあります。グラム染色と言う、2種類の色素で細菌を染める方法が用いられます。

これは紫色の色素で染めてから一度洗い流し赤色の色素で染めるのですが、紫色の色素に良く反応するものは紫色になり、紫色に反応しない物は赤く染まります。先に紫で染まったものは赤を追加しても色は変わりません。

紫に染まった菌をグラム陽性菌、赤に染まった菌をグラム陰性菌と分類します。この染まり具合と先に紹介した形の上での3分類を掛け合わせると6通りの分類ができます。

しかし、らせん菌は全てグラム陰性菌ですので、全部で5通りの分類ができると言うことになるのです。こうした分類を行って、例えば、溶連菌感染症にはグラム陽性の球菌に有効な抗生物質を使うと言った方法を用いるのです。

水虫などの原因になる真菌は細菌ではありませんがグラム陽性菌なのです。ですので、球菌でも桿菌でもないものでグラム染色に反応するものには抗真菌剤が有効と言うことになるのです。

とは言うものの、それ以前に普通の顕微鏡で見れば形が特徴的なので、染色するまでもなく真菌感染症だと言うことはすぐにわかりますけどね。

キャラクター紹介
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