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カプサイシンの効果を期待して食べた唐辛子で貧血が悪化?

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すっかりおなじみになった唐辛子の健康効果。その辛み成分はカプサイシンで、植物毒の一種であるアルカロイドに分類される成分ですが、普通に食べる分には問題ありません。

それどころか、減量効果や新陳代謝の改善などにも効果があると言われたり、独特の辛みで食欲増進に繋がったりといいことずくめです。

しかし、もともと非常に強い刺激を持っていることから、使い過ぎによる害も心配されています。主なものは胃腸炎や痔、肝がんを含む肝臓に対する悪影響などです。

今回は、唐辛子の害のうち、今まであまり注目されなかった鉄欠乏性貧血に対する良くない働きについて見てみましょう。

女性に多い鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血と言うのは、鉄分の摂取不足や出血などに伴って赤血球が足りなくなることで起こる貧血です。ですので女性の方に発生しやすい症状とも言えるでしょう。

吸収されやすいヘム鉄

最近では貧血対策のサプリなどで、このヘム鉄と言う言葉をよく見るようになりました。鉄は2価と3価のイオン価を持っていますが、3価の方は安定していて、やや不安定な2価は酸化されて3価に変わりやすいのです。

この2価の鉄はヘム鉄と呼ばれています。ヘムとは2価の鉄を構造に持つ有機化合物の名前で、ヘムを含むたんぱく質には赤血球の赤色であるヘモグロビンや、筋肉の赤色であるミオグロビンがあります。

2価の鉄は人間の身体に吸収されやすく、貧血の改善に大きく役立ってくれます。

一方、野菜に多く含まれる鉄分は3価の鉄で、体内でビタミンCなどによって2価に還元されてからでないと身体に吸収されにくいのです。

そこで魚や肉、レバーなどを食べてヘム鉄を上手に利用、貧血の改善に役立てましょうと言う事になっています。

そこで一つだけ注意点があります。上でお話ししたように、お肉などのヘム鉄はミオグロビンと言うたんぱく質の色ですが、ミオグロビンは身体の中にある間は酸化されてもすぐにコエンザイムの働きで元に戻ります。

しかし、食肉などになってしまった状態の肉ではコエンザイムが存在しませんので、ミオグロビンは酸化されてメトミオグロビンと言う茶色の色素に変化します。

お肉が少し古くなると茶色に変色するのは、このミオグロビンの酸化によるものです。そして、メトミオグロビンの鉄はヘム鉄ではなく3価の鉄になってしまっているので吸収率が悪くなります。

ですので、お肉も魚も、新鮮なうちに食べるようにしましょうね。

鉄強化食品

鉄欠乏性貧血は世界的な問題になっていて、日本ではあまり見かけないものの、世界中では鉄を強化した食品と言うのが一般的で、その食品の普及で貧血の患者が減っているとも言われています。

欧米では小麦に鉄を添加したり、アジアではニョクマムやナンプラーなどの魚醤に鉄を添加したりしているようですね。

魚醤はヘム鉄の多いイワシ類を原料にしていることや、調味料として気軽に使えることから効果的なのかもしれません。

タイでの研究「香辛料と鉄吸収の関係」

世界最大の仏塔で有名なタイのナコーンパトムにあるマヒドン大学医学部の研究によると、香辛料による鉄吸収の阻害と言うものが観測されたそうです。

ここで、若い女性たちに鉄強化ナンプラーと香辛料を調味料に使った野菜と米の料理を食べてもらい、鉄の同位体を使って吸収率を測定しました。

以前から、ポリフェノール類であるタンニンには鉄分の吸収阻害効果があることが知られています。貧血治療の鉄剤を飲む時にはお茶で飲んではいけないと言うのはそれが原因です。

この大学は、異なるポリフェノールを含む香辛料に注目して、その種類で鉄吸収阻害効果に差があるのかどうかを確認しました。

ウコン vs 唐辛子

熱帯地方において、ターメリック(ウコン)やレッドチリ(唐辛子)はどちらもよく使われる香辛料です。しかし、含まれるポリフェノールは異なります。

ウコンはもちろんクルクミンで間違いないでしょう。一方、唐辛子は…カプサイシンと言いたいところですが、カプサイシンがポリフェノールに分類しても良いのかどうか。

あるいは、そばに多いポリフェノールのルチンも唐辛子には含まれていますから、こちらなのかもしれません。いずれにせよ食材単位での実験ですので、成分はひとまず措きましょう。

実験に参加した女性たちは、二つのグループに分かれて、どちらかの香辛料を使った料理を食べました。

唐辛子は鉄を邪魔する

その結果、ターメリックを使った料理を食べた人の鉄吸収率は全くと言っていいほど阻害されず、期待された数値をほぼ満足していました。

一方、唐辛子を使ったグループでは鉄の吸収が著しく悪くなっていたと言う結果が得られたのです。

もちろんあらかじめポリフェノールの量は測定され、タンニンの骨格になっているガリック酸(没食子酸)と言う物質を基準に活性を数値化して比較されています。

ここで得られた結果から、ポリフェノール活性の比較で唐辛子はターメリックの半分量しか使わなくても、38%も鉄の吸収が少なくなると言う事が判りました。

鉄分を邪魔する食品

このように、唐辛子は鉄分の吸収を邪魔すると言う研究結果が出ましたので、鉄分を期待するものを食べる際には唐辛子を避けるのが良いでしょう。

鉄を多く含む食材としてほうれん草が有名ですが、もっと多く含んでいる野菜も少なくありません。ただ、野菜に含まれる鉄分は3価ですから、ビタミンCやクエン酸と一緒に食べて2価に還元するのを促進すれば効率よく吸収されます。

一方、唐辛子以外にも吸収を阻害するものは結構多いのです。次のようなものは鉄分を期待して食べる食事とは一時間くらい離して食べましょう。

  • 米ぬか・小麦ふすま(フィチン酸が原因)
  • 大豆(豆腐や豆乳はOK)
  • 玄米・雑穀類(フィチン酸が原因)
  • 食品添加物のリン酸塩
  • ラーメン(鹹水が原因)
  • コーヒー・紅茶・緑茶(タンニンが原因)

フィチン酸は別名イノシトール六リン酸とも呼ばれていますのでリン酸塩のピロリン酸(二リン酸)ナトリウムやカリウム、メタリン酸(ポリリン酸)など、どうやらリン酸がらみのものが鉄を邪魔するようですね。

ラーメンの麺にコシを出している鹹水も、基本は炭酸塩ですが、リン酸塩も補助的に入っていることが多いようです。

鉄を多く含む食品

では逆に、鉄を多く含む食品とは具体的にどのようなものがあるでしょうか。

3価の鉄が多い食品

では3価の鉄を含むものを見て行きましょう。ほうれん草より鉄を多く含む野菜類には次のようなものがあります。(乾物類は除いています)

  • スイスチャード
  • パセリ
  • よめな
  • よもぎ
  • 大根の間引き
  • 大根の葉
  • つるな
  • なばな
  • 小松菜
  • とんぶり
  • 枝豆
  • のびる
  • 酸茎菜
  • からし菜
  • サラダ菜
  • 高菜の漬物
  • つくし

実は唐辛子やその葉っぱも鉄分の多い野菜なんですが、それ自体が鉄分の吸収を阻害するので省きました。

また、中国漬物の搾菜(ザーサイ)も、からし菜の変種なので鉄分豊富ですが唐辛子を使った漬物が一般的なので抜いてあります。

2価の鉄(ヘム鉄)が多い食品

ヘム鉄は、たんぱく質で鉄原子を囲い込んだ構造なので、他の要因で吸収を阻害されにくいのですが、それでも上でお話しした阻害要因は避けておいた方がお得だと思います。

と言うのも、ヘム鉄の多い食品には3価の鉄も含まれているからで、さらに肉類は3価の鉄の吸収を良くしてくれる要素があるので、せっかくならそれも効率よく吸収しましょうと言う事なんです。

主に動物性食品ですが、2価の鉄が多い食品には次のようなものがあります。

  • 豚レバー
  • 鶏レバー
  • すずめ(まるごと)
  • 牛センマイ
  • 鶏ハツ
  • いなごの佃煮
  • 牛マメ
  • 鳩肉
  • 鴨肉
  • 馬肉
  • ヤギ肉
  • 牛レバー
  • 牛肉・もも

一般に精肉よりも内臓系に多く含まれているような感じですね。ホルモン鍋やホルモン焼きが良いのかも。

なんとなく調味料に唐辛子を使いたくなる食材が多いような気もしますが、ここはひとつ、胡椒や生姜、山椒、ネギ類、その他の香辛料に振り替えてみてはいかがでしょうか。

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